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コラム

なぜコア抜き工事で事前調査が重要なのか

建物の改修や設備更新の現場では、床や壁、天井に穴を開ける「コア抜き工事」が必要になる場面が少なくありません。配管や配線を通すための工事ですが、見た目以上に注意が必要です。

特に築年数の古い建物や、稼働中の施設では、内部に電気配線や設備が隠れている可能性があり、事前の調査を怠ると大きなトラブルにつながります。

現場では「多分大丈夫」「ここは何もないから」という言葉を聞くことがあります。しかし、その言葉が出た現場ほど、思わぬ配線や管が埋まっていたケースがあります。事前調査は、そうした見えないリスクを明らかにし、事故や工事の中断を防ぐための大切な工程です。

今回は、コア抜き工事で事前調査が重要な理由と、押さえておきたいポイントを整理します。

コア抜き工事とは何か

コア抜き工事とは、コンクリートなどの構造体に円形の穴を開ける工事です。主に配管・配線の貫通部を設ける際に行われ、コアビットを使って必要な径・位置に正確に穴を開けます。

壁や床、天井など、さまざまな部位が対象になります。一見すると単純な穴あけ作業に見えますが、建物の内部には鉄筋や配管、電気のCD管などが埋まっていることがあります。

事前に把握しないまま穴を開けると、配線を切断したり、構造を傷めたり、漏水の原因をつくったりする恐れがあります。特に病院などの稼働中の施設では、一つのミスが大きな影響を及ぼす可能性があるため、慎重な確認が欠かせません。

「多分大丈夫」が危険信号になる理由

コア抜きの現場でよく聞くのが、「ここは何もないから大丈夫」「急いでいるからそのまま開けてほしい」といった言葉です。しかし、実際に調査をしてみると、問題ないとされていた場所に電気配線が入っていた例があります。

例えば、大きな病院の現場で、元請けや設備業者から「何もない」と説明を受けた場所を、たまたま準備していたレントゲン機材で調査したところ、CD管と電気配線が確認されたケースがあります。

そのまま穴を開けていれば、工事の中断だけでなく、場合によっては施設の運営や安全に関わる問題につながりかねませんでした。

湿式でコア抜きを行う場合、CD管に当たると返り水の様子が変わることがあります。熟練者なら違和感に気づいて止められることもありますが、判断が遅れれば中の線を傷つけてしまいます。

技術で止められる場面はあっても、その後の補修や工期の遅れ、責任の所在といった問題は残ります。だからこそ、「開ける前に調べる」ことが重要になります。

事前調査で確認すべきポイント

コア抜き工事の事前調査では、次のような点を重点的に確認します。

まず、穴を開ける位置に配管・配線・鉄筋などが埋まっていないかです。図面や竣工図の確認に加え、現地での目視、必要に応じた非破壊検査(レントゲンなど)を行い、内部の状況を明らかにします。

調査の結果、問題のある位置だと分かれば、穴を開ける場所を変更したり、対策を講じたりできます。次に、石綿含有建材の有無です。

床・壁・天井の仕上げ材や下地に石綿が含まれている場合、切削・穿孔の際に粉じんが飛散するリスクがあります。法令に基づく事前調査と、必要な飛散防止対策を行うことが求められます。

また、周辺環境への影響も確認します。人の通行が多い場所かどうか、隣接する部屋や階への粉じん・騒音の影響などを考慮し、養生や作業時間の調整を行います。

調査結果を報告書にまとめ、関係者で共有することで、工事の透明性と安全性が高まります。

事前調査が工事全体にもたらす効果

事前調査を行うことで、コア抜き工事はより安全で計画的になります。内部の状況が明確になれば、必要な対策を事前に準備でき、作業中の予期せぬ中断を減らせます。

配線や管を傷つけた場合の補修費用や、工期延長による損失を考えると、調査を先に行うほうが結果的にスムーズで費用を抑えられることも少なくありません。

何より、施工する側が安心して作業に臨める点が大切です。調査なしに穴を開けることは、必要な検査を全くせずに手術を始めるようなもので、実際には考えられないことです。

建物は痛みを訴えませんが、そこで暮らす人・働く人がいます。見えない部分を確認してから進める姿勢が、事故防止と信頼につながります。

まとめ

コア抜き工事は、小さな穴を開ける作業に見えても、建物の内部や使用状況によっては大きなリスクを伴います。「多分大丈夫」という言葉だけで進めるのではなく、事前に調査して実態を把握することが、安全な施工の基本です。

  • コア抜きは内部の配管・配線・鉄筋を傷つける可能性がある
  • 「何もない」「大丈夫」という言葉があっても、調査で確認する
  • 図面確認と現地調査、必要に応じた非破壊検査で内部を把握する
  • 石綿含有建材の有無も確認し、飛散防止対策を講じる
  • 事前の確認が、手戻り防止・費用抑制・安心施工につながる

事前調査を工事の一部として位置づけ、丁寧に実施することが重要です。正しい情報に基づいた計画が、安心できる工事の第一歩となります。

実際の現場で「大丈夫」と言われていた場所に配線が埋まっていた事例など、より具体的な話を下記の解説動画で紹介しています。事前調査の大切さを、現場の視点から理解するうえで参考にしていただけると幸いです。

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