今年(2018年)6月に大阪北部で、ブロック塀の倒壊が相次ぎ、亡くなられる方が出たほか怪我をされる方がでるなど、大小の事故が発生しました。
被害に合われた方には、心よりお悔やみ申し上げます。
それに伴い国政も対策に乗り出し、来年(2019年)の1月にはブロック塀の所有者に耐震診断を義務付ける「耐震改修促進法の政令」を閣議決定しました。
この法律の対象は一戸建ての多くは除かれますが、1981年より前に設置された塀が対象でマンションや商業施設などの大きな建物で使用されているブロック塀に適応されます。
ブロック塀の種類
ブロック塀は大きく分けて、造り方で2つの種類にわけられます。
2,補強コンクリートブロック造:空洞のコンクリートブロックの中に鉄筋を入れ補強した構造のものです。
この「組積造」と「補強コンクリートブロック造」とで、建築基準法の構造規定のチェックポイントは異なります。
組積造のブロック塀のチェックポイント
1,塀の高さは地盤から1.2m以下か
2,塀の厚さは十分か(壁頂までの距離の1/10以上)
3,塀の長さ4m以下ごとに、塀の厚さの1.5倍以上突出した控え壁があるか
4,基礎があるか
5,塀に傾き、ひび割れはないか
6,基礎の根入れ深さは20cm以上か
補強コンクリートブロック造のブロック塀のチェックポイント
外観検査
1,塀の高さは地盤から2.2m以下か
2,塀の厚さは10cm以上か(塀の高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)
3,(塀の高さが1.2m超の場合)塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した控え壁があるか
4,コンクリートの基礎があるか
5,塀に傾き、ひび割れはないか
内部検査
1,塀の中に直径9mm以上の鉄筋が、縦横とも80cm間隔以下で配筋されており、縦筋は壁頂部および基礎の横筋に横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか
2,基礎の根入れ深さは30cm以上か(塀の高さが1.2m超の場合)
3,鉄筋の接合方法、モルタルの充填状況は、令第 62 条(*1)の 6 に照らして適切か
4,鉄筋のピッチ及び定着状況は、令第 62 条(*1)の 8 に照らして適切か
5,基礎の根入れ深さは、令第 61 条(*1)又は令第 62 条(*1)の 8 に照らして適切か
(*1)建築基準法の条例も載せておきます。
令第 61 条
組積造のへいは、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 高さは、1.2 メートル以下とすること。
二 各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の 10 分の 1 以上とすること。
三 長さ 4 メートル以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの 1.5 倍以上突出した控壁(木造のものを除
く。)を設けること。ただし、その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの 1.5 倍以上ある場合において
は、この限りでない。
四 基礎の根入れの深さは、20 センチメートル以上とすること。
令第 62 条の 6
コンクリートブロツクは、その目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空胴部及び縦目
地に接する空胴部は、モルタル又はコンクリートで埋めなければならない。
2 補強コンクリートブロック造の耐力壁、門又はへいの縦筋は、コンクリートブロックの空胴部内で継いではならな
い。ただし、溶接接合その他これと同等以上の強度を有する接合方法による場合においては、この限りでない。
令第 62 条の 8
補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ 1.2 メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)
に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安
全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。一 高さは、2.2 メートル以下とすること。
二 壁の厚さは、15 センチメートル(高さ 2 メートル以下の塀にあつては、10 センチメートル)以上とすること。
三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径九ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に 80 センチメートル以下の間隔で配置すること。
五 長さ 3.4 メートル以下ごとに、径九ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの
5 分の 1 以上突出したものを設けること。
六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋
に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の 40 倍以上基礎に
定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
七 基礎の丈は、35 センチメートル以上とし、根入れの深さは 30 センチメートル以上とすること。
引用元:建築基準法施行令
このように「組積造」と「補強コンクリートブロック造」とで、チェックポイントが異なるので、各所をこの基準に基づいてチェックする必要があります。
ブロック塀では、「組積造」か「補強コンクリートブロック造」なのかが外観では見分けることが難しいことあります。
当社では、非破壊でブロック塀に鉄筋が入っているかどうかを検査することができます。
ブロック塀の内部検査につきましては、都築(つづき)ダイヤモンド工業までお気軽にお問合せください。