1.健康診断の実施
【引用】
石綿障害予防規則
第六章 健康診断
(健康診断の実施)第40条
1)事業者は、令第二十二条第一項第三号の業務(石綿等の取扱い若しくは試験研究のための製造又は石綿分析用試料等の製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に限る。)に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。1.業務の経歴の調査
2.石綿によるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
3.せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
4.胸部のエックス線直接撮影による検査2)事業者は、令第二十二条第二項の業務(石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に限る。)に常時従事させたことのある労働者で、現に使用しているものに対し、六月以内ごとに一回、定期に、前項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。
3)事業者は、前二項の健康診断の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を訴える者その他異常の疑いがある者で、医師が必要と認めるものについては、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
1.作業条件の調査
2.胸部のエックス線直接撮影による検査の結果、異常な陰影(石綿肺による線維増殖性の変化によるものを除く。)がある場合で、医師が必要と認めるときは、特殊なエックス線撮影による検査、喀痰かくたんの細胞診又は気管支鏡検査
アスベスト取り扱い作業者に対する健康診断の実施義務
建築物の解体などの工事においては、アスベストの粉じんが発散する場所での作業があり得ます。その場合は、事業者はその業務に携わる現職の労働者に対して、6か月ごとに1回、定期的に医師による健康診断を受けさせる必要があります。(第40条第2項)
診断が規定されている項目は、以下の4つです。
2.アスベストによるせき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査
3.せき、たん、息切れ、胸痛等の他覚症状又は自覚症状の有無の検査
4.胸部のエックス線直接撮影による検査
また、診断の結果で異常が検出され、医師が必要を認めた場合は、以下の診断を実施する必要があります。
2.胸部のX線検査の結果、異常な陰影が見られた場合(石綿肺による線維増殖性の変化を除く)、かつ医師が必要と判断した場合に、特殊なX線検査、痰の細胞検査、または気管支鏡検査。
2.健康診断結果の記録・報告
【引用】
石綿障害予防規則
(健康診断の結果の記録)第41条
事業者は、前条各項の健康診断(法第六十六条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「石綿健康診断」という。)の結果に基づき、石綿健康診断個人票(様式第二号)を作成し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該業務に従事しないこととなった日から四十年間保存しなければならない。
(健康診断の結果についての医師からの意見聴取)第42条
1)石綿健康診断の結果に基づく法第六十六条の四の規定による医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。1.石綿健康診断が行われた日(法第六十六条第五項ただし書の場合にあっては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から三月以内に行うこと。
2.聴取した医師の意見を石綿健康診断個人票に記載すること。2)事業者は、医師から、前項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。
(健康診断の結果の通知)第四42条の2
事業者は、第四十条各項の健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(健康診断結果報告)第43条
事業者は、第四十条各項の健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、遅滞なく、石綿健康診断結果報告書(様式第三号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
健康診断結果の記録
事業者は、健康診断を受けた労働者が、アスベスト取り扱い業務を終了した日から40年間、診断結果を保存することが規定されています。(第41条)
医師からの意見聴取
健康診断の結果に基づく医師からの意見聴取は、以下の条件で行われる必要があります。
2.聴取した医師の意見を石綿健康診断個人票に記載すること。
事業者は、医師から必要な労働者の業務に関する情報を求められた場合には、速やかに提供する責任があります。(第42条)
健康診断結果の報告
事業者が第40条で規定されている健康診断を実施した場合、その結果を速やかに(通常は健康診断後約1ヶ月以内に)石綿健康診断結果報告書(様式第三号)として所轄の労働基準監督署長に提出しなければなりません。(第43条)
分かりやすく言うと、健康診断結果を特定の書式にまとめて、労働基準監督署に早急に提出する必要があるということです。
まとめ
今回は、石綿障害予防規則で規定されている、アスベスト取り扱い作業者に対する健康診断について解説しました。
ポイントは以下の3つです。
2.健康診断結果は40年間保管する必要がある。
3.健康診断の結果は労働基準監督署に報告する必要がある。
労働者に対する健康診断は、健康管理やアスベスト被害を抑制するにあたって非常に重要な項目です。
半年に1回の健康診断を漏れがないように実施しましょう。