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建築基準法の防火ルールを解説!プロが押さえるべきポイントとは2

建築基準法の防火ルールは、火災から人命と財産を守る基盤であり、建築業者にとって実務での正確な対応が求められます。

防火区画の設計・施工、耐火構造の指定番号と認定番号の管理、RC造とS造の防火性能の違い、そして耐火性能の確実な実務対応は、安全な建築を実現する鍵です。

これらのミスは、火災時の被害拡大や行政指導、信頼低下に繋がるため、最新の知識と実践が不可欠です。

今回は、防火区画の詳細や構造ごとの防火特性など、現場で役立つポイントをわかりやすく解説します。プロとして信頼される建築を目指し、防火ルールを確実に押さえて、安全で高品質な建築を実現しましょう。

防火区画の役割と設計・施工のポイント

防火区画は、火災の拡大を防ぎ、避難時間を確保する重要な仕組みです。建築基準法施行令第112条では、面積区画、竪穴区画、異種用途区画の3つが定められています。

面積区画は、水平方向の延焼を防ぐため、100〜3000㎡ごと(用途や構造による)に防火壁やシャッターを設置します。高層建築物(11階以上)では、消防車の救助が難しいため「高層区画」として100〜1000㎡に縮小されます。

スプリンクラー設置で面積要件が緩和される場合もあります。竪穴区画は、階段やエレベーターシャフト、パイプシャフトなど縦方向の煙突効果を防ぐため、3階以上の建築物に必須です。

1967年以降に導入されたため、旧建築物では不在の場合も。異種用途区画は、テナントごとの用途差(例:デパートと飲食店)で避難遅れを防ぐため、防火壁で分離します。

実務では、設計時に用途・規模に応じた区画計画を立て、避難経路を確保します。例えば、商業施設では店舗間の防火シャッターが重要です。

施工では、防火壁の気密性や貫通部の処理(例:耐火パテ)が鍵で、隙間からの煙漏れが不備の典型です。

検査では、扉の閉鎖性能や気密性が厳しくチェックされるため、事前点検が必須。チェックリストを活用し、設計者と施工者の連携でミスを防ぐことができるでしょう。

耐火構造の指定番号と認定番号の仕組み

耐火構造には、建築基準法の告示に基づく仕様と、国土交通大臣の認定仕様があります。

指定番号(例:耐火C1211)は耐火構造の種類を示し、「C」は柱、「G」は梁、「W」は壁、「F」は床を表します。数字の頭が「1」で1時間耐火、「2」で2時間耐火となります。

認定番号(例:FP060CN-9164)は材料や製品に付与され、「FP」は耐火、「060」は1時間耐火、「CN」は柱を意味します。

1964〜1987年に石綿吹付け(かさ比重0.3以上)、1971年に石綿含有ロックウールが指定され、2000年の法改正で旧指定が廃止されました。

このように新認定番号に移行しているのですが、2002年までは旧・新表記が混在しており、旧建築物の調査では判別に注意が必要です。

実務では、設計図書や特記仕様書で指定番号・認定番号を確認し、認定材料を使用します。例えば、高層ビルの鉄骨柱では、認定番号付きの岩綿吹付けを選び、施工後に証明書を提出します。

番号の誤認は、リスクを招きます。旧建築物の改修では、石綿含有の可能性を念頭に調査しましょう。メーカー提供の最新カタログで、認定番号の更新や新工法を把握しておくと信頼性の高い対応が可能でしょう。

RC造とS造の防火性能と石綿使用の比較

RC造(鉄筋コンクリート造)とS造(鉄骨造)は、防火性能と石綿使用の目的が異なります。

RC造は、コンクリートの高い耐火性能により、追加被覆なしで「1時間耐火」や「2時間耐火」を満たし、防火地域の高層ビルや住宅に適します。柱、梁、スラブ、壁を一体打設するため、接合部の隙間が少なく、防火区画の気密性が高いです。

ただし、カーテンウォールを使用すると、スラブ端部と外壁の隙間に注意が必要。過去には、設計者の要求品質に応じ、石綿吹付けや石綿含有ボードが外壁や間仕切壁に使われました。

S造は軽量で施工が早く、倉庫や工場に適しますが、鉄骨の耐火性能は低く、岩綿吹付けや耐火ボードの被覆が必須です。1970年代のS造では、石綿吹付けや石綿含有ロックウールが鉄骨に使用されたケースもあります。

実務では、RC造はコンクリートの打設品質(ひび割れ防止)、S造は被覆の厚さや接合部の処理が重要です。検査では、RC造は配合証明書、S造は被覆材料の認定書が必要です。

用途や地域要件、長期コスト(RC造は工期長、S造は被覆メンテナンス)を考慮し、設計段階で最適な構造を選びましょう。旧建築物の改修では、石綿調査を徹底することが不可欠です。

要求される耐火性能の実務対応

耐火性能は、用途、規模、地域に応じて「1時間耐火」「2時間耐火」などの基準で定められます。例えば、防火地域の3階建て商業施設では、主要構造部に「2時間耐火」が求められる場合があります。

設計では、性能評価試験の結果や認定材料を選び、施工では適正な工法を採用します。考えられるミスとして、材料の不適切な選定や施工不良が挙げられます。チェックリストを活用し、設計者と施工者の連携でこれを防ぎましょう。

信頼性の高い建築は、発注者からの評価を高め、競争力を向上させます。新たな耐火材料や工法の動向に注目して、継続的な学習でスキルを磨き続けることが大切です。

まとめ

今回は、防火区画、耐火構造の指定番号と認定番号、RC造・S造の防火性能と石綿使用の比較、耐火性能の実務対応を解説しました。

これらを活かし、設計・施工・検査でのミスを防ぐことができます。防火ルールを守ることで、安全な建築と信頼性向上を実現できます。プロとして、最新情報に基づく実践を続けましょう。

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