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アスベスト除去作業の計画作成1

作業計画の項目

アスベストを含む建材を取り扱う際には、まず事前調査を行い、その結果に基づいて作業方法や工程・手順などを計画しなければなりません。

大気汚染防止法施行規則第16条の4において、特定工事を行う元請業者や自主施工者は、特定粉じん排出などの特定作業を始める前に、遵守すべき作業基準として、計画を作成し、その計画に基づいて作業を行うことが求められています。

さらに、石綿障害予防規則第4条によれば、事業者は、アスベストが使用されている建物や構造物の解体などを行う際に、アスベストによる労働者の健康被害を予防するために、事前に作業計画を策定し、その計画に基づいて作業を行う必要があります。

この作業計画は、大気汚染防止法や石綿障害予防規則に基づく届出が必要な場合に、添付する必要がありますが、アスベストを含む成形板などの建材や、アスベストを含む仕上げ材が使用されている建物の解体など、届出が不要な場合でも作業計画は作成する必要があります。

大気汚染防止法と石綿障害予防規則で規定されている作業計画に含まれるべき事項を、下記の表にまとめました。

作業計画に記載するべき事項

作業計画の記載事項 大気汚染防止法

(大気汚染防止法施行規則第16条の4第一号)

石綿障害予防規則

(第4条第2項)

①工事の概要 特定工事の場所、発注者の名前または名称、住所、法人であれば代表者の名前
② アスベスト含有建材除去などの作業 特定の粉じん排出作業の種類、実行機関、対象となる建物部分、アスベスト含有建材の種類、使用されている場所や面積について
③アスベスト飛散防止措置 特定粉じん排出作業の手法、対象となる建物の概要、配置図、および周辺状況について アスベストなどの粉じんの散布を防ぐか、抑制する手段方法
④工事の工程表 特定粉じん排出作業の手順を示した建設工事の進行概要 アスベストを含む建物の解体作業の方法と手順
⑤ 施工体制 ・特定工事の元請業者、または自主施工者の現場責任者の名前と連絡先

・特定粉じん排出作業を下請け業者が行う場合、その下請け業者の現場責任者の名前と連絡先

⑥安全衛生 アスベストを含む建物の解体作業を行う労働者に対する粉じん暴露を防ぐ方法

作業計画は大気汚染防止法と石綿障害予防規則によって、作成が義務付けられていますが、これらの法令ごとに別々に作成する必要はありません。代わりに、両法令に準拠する1つの作業計画を作成することもできます。ただし、その場合は両法令の要件を満たす作業計画を作成する必要があります。

作成された作業計画は、その作業を行う全ての労働者に共有し、その計画に従って作業を実行しなければなりません。また、大気汚染防止法において、作業を下請け業者が担当する場合、元請業者は作業が完了した際に、作業計画に基づいて適切に実施されたことを確認する責任を負います。このため、作業計画は現場に備えられ、必要に応じて手順などを見直し、計画を修正する必要があります。

作業計画の記載事項

(1) 工事の概要

解体工事の発注者の名前または名称、住所、法人の場合は代表者の名前、そして工事の場所などを記載してください。工事を行う場所の住所がない場合、地番を記載してください。また、工事の名称や現場案内図などの情報も記載すると良いでしょう。

(2) アスベスト含有建材除去等作業

アスベストの除去に関する情報として、作業の種類、実施期間、対象となる建築物の部位でのアスベスト含有建材の種類、使用箇所、および使用面積を明記します。

特定粉じん排出作業については、大気汚染防止法施行規則別表第7の作業基準から、除去、囲い込み、封じ込めのどの作業が適用されるかを明示します。さらに、除去に伴う負圧隔離養生、隔離養生、原形のまま取り外しといった具体的な作業の種類も記載します。これらの作業に代わる同等以上の安全対策を採用する場合には、その対策の詳細も明記します。

作業の実施期間は、除去作業が始まりから終了する予定の期間を明示します。予定が変更される場合には、記載を更新します。

作業の対象となる建築物の部位におけるアスベスト含有建材の種類、使用箇所、および使用面積について、解体等の対象範囲内に存在するアスベスト含有建材の具体的な種類(吹付け材、保温材、岩綿吸音板、仕上塗材など、識別可能な範囲で詳しく記載します)とそれらの使用箇所、使用面積を明示します。使用箇所や面積に関する情報は、図面に記載しても構いません。

また、事前調査の結果を示す報告書などがある場合には、それを添付します。

(3) 工事の工程表

アスベスト除去作業に関連する建設工事の進行概要(方法と手順)を明確に示します。この工程表でアスベストの除去などを含む解体工事全体の進行が把握できるように記述します。解体後に新しい建物を建設する場合でも、解体工事の完了までの情報掲載で構いません。

また、以下の仮設計画に関連する事項も記載することが望ましいです。

- 作業床(足場など)および外部養生の設置方法
- 安全通路の確保計画
- 仮設照明の設置場所

(4) 施工体制

解体工事の元請業者または自主施工者の現場責任者の名前と連絡先、および下請け業者がアスベストの除去作業を行う場合、その下請け業者の現場責任者の名前と連絡先を記載します。現場責任者の連絡先には、電話番号や通常滞在している場所も含めて明記します。

さらに、全体の施工体制が把握できるように、組織図なども記載します。組織図には、石綿作業主任者の名前、特別管理産業廃棄物管理責任者の名前、緊急時の対応に関する情報(連絡先、連絡経路など)も含めて記載します。

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