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アスベスト除去プロセスにおける注意点2

4. 作業場の離脱および負圧状態、集じん・排気装置の稼働状況の確認

① 集じん・排気装置の稼働期間

集じん・排気装置を稼働させる期間は、基本的には、除去作業開始前から負圧隔離養生を解除する前までです。しかし、作業内容や作業場の状況に応じて、隔離空間の設置を開始する前や、隔離撤去・袋詰めが完了するまで稼働させることが理想です。

除去作業中に常に負圧状態を維持するためには、除去作業の開始から終了までの間、作業を行っていない時間帯も含めて、原則として集じん・排気装置を稼働させます。ただし、除去作業が複数日にわたる場合で、夜間の騒音対策や負圧による隔離シートの脱落を防ぐためには、やむを得ず集じん・排気装置を停止させることもあります。

その場合には、作業場内の清掃や廃棄物の袋詰め、保管場所への移動を行った後、粉じん飛散抑制剤を空中散布して浮遊アスベストの沈降を促進させます。そして、故障などやむを得ない場合を除き、集じん・排気装置を90分以上稼働させ、作業場内のアスベスト繊維を集じん・排気して外気と置換させます。

その後、外気と同等の空気状態になったことを粉じん相対濃度計(デジタル粉じん計)で確認します。集じん・排気装置を停止させた後は、排気口をビニールなどでしっかりと塞いでおきましょう。

② 負圧状態の確認

集じん・排気装置を稼働させた後は、以下のタイミングで、負圧が確保されていることを確認します。

ア)除去作業開始前
アスベストの除去作業が複数日にわたる場合は、初日だけでなく毎日確認が必要です。
イ)作業を中断したとき
アスベストの除去作業が複数日行われる場合、最終日以外は作業終了時も「中断」とみなし、負圧を確認します。中断時の点検は、作業者が前室から退出した時点で行います。

除去作業中は、定期的または連続的に負圧が維持されていることを点検し、その記録を残します。負圧状態の確認は、スモークテスターやスモークマシン、またはマイクロマノメーター(精密微差圧計)などを使用して行います。

マイクロマノメーターを使用する場合、作業場内の差圧は-2~-5Paが目安となります。また、隔離シートが作業場内側に膨らんでいるかや、セキュリティゾーンの仕切りカーテンの方向でも確認できます。

隔離シートの破損や、負圧養生と周囲の建築物との隙間、作業場とセキュリティゾーンの接合部の隙間、排気ダクトなどが隔離シートを貫通する部分の隙間、集じん・排気装置と吸引ダクトや排気ダクトの接続部に問題がないかを目視や触診で確認し、スモークテスターなどで煙を当てて確認します。不具合があれば、作業を中止して修正し、関係者と確認した上で再開します。

セキュリティゾーンについては、マイクロマノメーターによる測定に加え、スモークテスターや吹流しなどで外気が隔離空間に流入していることを確認します。除去作業中、エントランスホールの扉の開閉やエレベーターの稼働によって、負圧養生された作業場内の汚染空気が外部に引き出されることがあるため、事前に確認しておきます。

③ 集じん・排気装置からの漏えいの確認

アスベスト除去作業を行う際、以下のタイミングで集じん・排気装置からアスベスト繊維が漏えいしていないかを確認します。

ア)初めて除去作業を行う日の、作業開始直後
イ)作業中に集じん・排気装置の位置を変更した場合
ウ)作業中に集じん・排気装置のフィルタを交換した場合
エ)その他、必要が生じた場合

これらの確認作業は、集じん・排気装置の取扱いや、アスベストによる健康被害の防止に関して、十分な知識と経験を持つ者が行わなければなりません。

④ 集じん・排気装置の保守点検とフィルタの交換

集じん・排気装置は定期的に保守点検を行い、フィルタも定期的に交換する必要があります。交換の基準は、フィルタの種類によって異なるため、使用する製品の仕様書に記載されている基準に従います。

一般的な目安として、以下のように交換します。

・1次フィルタ:1日に3~4回
・2次フィルタ:1日に1回
・HEPAフィルタ:1次・2次フィルタの交換後、目詰まりが発生する場合、または500時間程度で交換。

HEPAフィルタとは


HEPAフィルタは、空気中の微粒子を非常に効果的に取り除くことができるフィルタの一種です。空気清浄機、掃除機、医療機器、クリーンルームなど、空気中のホコリやアレルゲン、細菌、ウイルスの除去が必要な場所で使用されています。

集じん・排気装置に差圧計が取り付けられている場合は、圧力損失が一定値を超えた時点でフィルタを交換します。その際、フィルタやパッキンが正しく取り付けられているかを目視で確認します。

フィルタを作業場で交換する際は、原則として作業場の隔離空間内で交換を行います。HEPAフィルタは、作業終了後に作業場内のアスベスト繊維の処理が完了してから交換するのが基本です。

ただし、やむを得ず作業中に交換する場合は、排気ダクトを密閉し、他の集じん・排気装置を稼働させて作業場内の負圧を維持しながら交換を行います。HEPAフィルタ周りは汚染空気が漏えいする可能性が高いため、フィルタと本体の間を粘着テープで密閉して漏えいを防止することも効果的です。

保守点検やフィルタ交換などを実施した際には、実施内容、結果、日時、実施者を記録します。保守点検は、集じん・排気装置の取扱いや、アスベストによる健康障害の防止に関する知識と経験を持つ者が行う必要があります。

まとめ

アスベスト除去作業において、集じん・排気装置の適切な稼働と負圧状態の維持は、作業環境の安全性を確保するために極めて重要です。装置の稼働期間や負圧状態の確認を徹底し、漏えいのリスクを最小限に抑えることで、アスベスト繊維の飛散を防ぎます。

また、定期的な保守点検とフィルタの交換を行うことで、装置の性能を維持し、作業の安全性をさらに高めることができます。これらの手順を厳守することで、作業員の健康を守り、環境への影響を最小限に抑えることが可能です。

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