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アスベスト含有建材の種類とリスクレベル

アスベスト含有建材

アスベスト含有建材には様々な種類が存在します。建材によって危険度の大きさ、飛散のしやすさが異なります。成形板のようにアスベストがセメントで固定されているものは、繊維が飛散しにくいので、健康被害を発生させるリスクが低くなり、対策にかかる費用は低額です。一方、吹き付けアスベストのような飛散リスクが高いものは、健康被害の影響が高く、対策費用も低リスク建材と比較すると高額になります。このコラムではアスベスト含有建材の種類とリスクをレベル別に解説していきます。

吹き付け石綿など(レベル1)

吹き付けで施工されたアスベスト含有建材は、飛散性が高いため、リスクが高くなっておりレベル1に分類されています。該当する建材は次の5種類になります。

1.吹き付け石綿
2.石綿含有吹き付けロックウール
3.湿式石綿含有吹き付け材
4.石綿含有吹き付けバーミキュライト
5.石綿含有吹き付けパーライト

これらの建材は、アスベストとセメントを混合させたもので、建築物に吹き付けることで、綿のような状態で固定されています。他の建材と比較して飛散リスクが高いので、施工されている場所や状況を正確に把握しておくことが重要です。除去作業には対策として、まず作業場を専用のシートで密閉して隔離します。そして集塵・排気装置を作動させて作業場内の負圧を確保し、作業中に発生するアスベスト繊維の漏洩を防ぎます。このような手間がかかるため、対策の費用が高額になってしまいます。

石綿含有保温材・断熱材など(レベル2)

レベル2のアスベスト含有建材は、レベル1に次いで飛散性が高いものとなっています。該当する建材は大きく分けて下記の4種類になります。

1.石綿含有耐火被覆板(けい酸カルシウム板第2種を含む)
2.煙突用石綿断熱材
3.屋根用折板石綿断熱材
4.石綿含有配管保温材

これらの建材は、配管などに巻き付けて保温材や断熱材として利用されています。レベル1建材より危険度は低いものですが、扱いを誤るとアスベスト飛散につながる恐れがあり、除去するためにはレベル1建材と同様、負圧隔離養生の対策が必要になります。

石綿含有成形板・スレート板など(レベル3)

レベル3の建材は、板状に硬く成形されており、破損しにくい建材のため、飛散のリスクが低いという特徴があります。そのためレベル1、2と比較して、大きく取り扱いが異なります。代表的なレベル3の建材は下記のとおりです。

1.石綿含有スレート板
2.石綿含有押出形成セメント板
3.石綿含有けい酸カルシウム板第1種
4.石綿含有窯業系サイディング
5.石綿含有ロックウール吸音天井板
6,石綿含有ビニール床タイル
7,石綿含有石膏ボード

日常で使用することでアスベストが飛散することは、ほぼありませんが、それでも解体時には注意が必要となります。また木造住宅でも使用されている可能性があります。

各レベルの建材は下記HPにて写真閲覧できます

一般社団法人 建築物石綿含有建材調査者協会

アスベスト建材の「みなし」について

目視調査でアスベスト含有の有無が不明な場合、分析調査を行なうか、アスベスト含有を「みなす」(分析調査をせず、アスベストが含有している建材とみなすこと)扱いになります。これは「石綿障害予防規則第3条第4項」に明記されている内容で「みなし」をうまく活用することにより、効率的な調査が可能となります。たとえば住宅でよく使用されている住宅用屋根用化粧スレートや水回り、火のまわりのけい酸カルシウム板第1種、スレート板、外壁のサイディング材など、アスベスト含有の可能性が高い建材は「みなす」ことで分析調査を省くことができます。これまで「みなし」とするのは、レベル3の石綿含有建材のみでした。しかし2020年の法改正で、吹き付けクロシドライトや煙突断熱材のように石綿含有が目視で確認できる建材は、レベル1,2建材でも「みなす」ことができるようになりました。

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