主として中高層の鉄骨建築物における外壁および間仕切り壁に用いる軽量のコンクリートパネル建材「押出成形セメント板」のことをアスロックと称します。セメントやケイ酸などを主材料として板状に押出して成形します。板の中に空洞部分を有しており、高温・高圧の蒸気がま「オートクレーブ」の中で常圧より高い圧力で高温の水蒸気を用いて蒸気養生を行なっています。ECP板 (Extruded Cement Panel)という略称もあり、人に有害な材料である石綿は使用していません。
アスロックの歴史
日本においては「押出成形セメント板」の生産は1970年に現在の株式会社ノザワが初めて「アスロック」の名で生産と販売を始めました。したがって「アスロック」は株式会社ノザワの登録商品名です。すでに50年もの歴史があり長く活用され続けてきた建材です。ノザワのアスロックは低中層のビルや商店建築の外壁材として使われ、その取付工法はALC板に非常によく似ています。
ALC板との違い
ALC板はコンクリートを発泡させて成型する軽量化された特殊なコンクリート建材です。押出成形セメント板のアスロックはコンクリートに鉱物由来の繊維を混ぜて型から押し出す様に成型された建材です。両方とも鉄骨造の外壁材として用いられています。両者を比較するとALC板の方が「耐火性」に優れていますが「耐凍害性能」は劣っています。こういった性能を用途別に使い分けています。
アスロックの特長
1.軽量
板の中に空洞部分を有する中空断面形状のため軽量で施工が容易です。構造部材にかける負担を少なくする事により、コストを抑える事ができます。ALC板と比較するとアスロックの方が厚みは薄いですが若干重いです。
2.耐震性
建物の層間変位に対応が可能で耐震性に優れています。これはZ型のクリップによる取り付け工法を標準採用しているためです。ALC板と同程度の耐震性です。
3.耐候性
密度の高い材質なので、表面からの吸水性が低く防水処理が不要です。また、密実な建材なので凍害にも強いです。ALC板よりも耐候性に優れていると言えるでしょう。
4.耐火性
外壁や内部間仕切り壁に非耐力壁として建築基準法上要求されている耐火性能認定を取得しています。ALC板と同程度の耐火性で、どちらも耐火性能認定を取得済みです。アスロックは耐火性には優れていますが断熱性は高くないというデメリットもあります。
5.遮音性
中空断面形状なので板の内部にコンクリートブロックと同じような空洞を有しています。その中空層により音が遮断できるので遮音性に優れています。ALC板も内部に多くの気泡があることで音を通し難いですがアスロックの方が遮音性に優れています。
6.施工性
工場で製作してからの出荷となるので現場では組み立てるだけというお手軽さがあります。鉄筋コンクリートに比べて簡単で軽量なため施工性はとても良いです。ALC板と同程度の使いやすさです。
7.デザイン性
デザインが豊富でタイル張りなどが容易に出来るアスロックはデザイン性に大変優れています。高級感のある建物はアスロックの上にタイル張りするケースがほとんどです。ALC板の素地はやや安っぽい印象を受け、タイル張りは可能ですが、やや制約があるのであまり採用されないというデメリットがあります。
まとめ
今回は押出成形セメント板「アスロック」についてALC板と比較しながら説明しました。アスロックは非常に優秀な外壁建材と言えます。
デザイン性が豊富で、軽量かつ使いやすく各種性能にも優れている「押出成形セメント板」の特徴を理解した上で、ALC板と使い分けてみてはいかがでしょう。
都築ダイヤモンド工業では、アスロックでもALCでも穿孔に対応できますので、お気軽にお問い合わせください。