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アスベスト関連法規 石綿障害予防規則5

1.除去作業時に着用する保護具・作業着

【引用】
石綿障害予防規則
第14条
1)事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に呼吸用保護具
(第六条第二項第一号の規定により隔離を行った作業場所における同条第一項第一号に掲げる作業(除去の作業に限る。次項及び第三十五条の二第二項において「吹付石綿等除去作業」という。)に労働者を従事させるときは、防じん機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具若しくは防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具であつて防じん機能を有するもの又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器若しくは送気マスク(次項及び第三十五条の二第二項において「電動ファン付き呼吸用保護具等」という。)に限る。)を使用させなければならない。

2)事業者は、石綿等の切断等の作業等の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、呼吸用保護具(吹付石綿等除去作業の一部を請負人に請け負わせるときは、電動ファン付き呼吸用保護具等に限る。)を使用する必要がある旨を周知させなければならない。

3)事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に作業衣を使用させなければならない。ただし、当該労働者に保護衣を使用させるときは、この限りでない。

4)事業者は、石綿等の切断等の作業等の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人に対し、作業衣又は保護衣を使用する必要がある旨を周知させなければならない。

5)労働者は、事業者から第一項及び第三項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

出典:石綿障害予防規則 第14条|e-Gov法令検索

保護具・作業着の着用

保護具・作業着の着用は労働者を守るうえで重要な規則です。

事業者は、アスベストの切断などの作業に従事する労働者に、呼吸用保護具や作業着または保護衣を着用させなければなりません。(第14条)

この呼吸用保護具に関しては、防塵機能や防毒性能が付いている電動ファン付きの呼吸用保護具など、それぞれの作業に適切なものを選ぶ必要があります。

また、第14条1)にある「同条第一項第一号に掲げる作業」とは、吹き付けられたアスベストを取り除く一連の作業を指しています。

たとえば、隔離された作業場で取り除いたアスベストを袋に詰める作業や、現場監督の従事なども含まれます。ただし、これらの事前に行う作業(足場の設置など)は含まれません。

それ以外にも、必要な呼吸用保護具の確保(第44条)、保護具の数(第45条)、保護具の管理(第46条)などが規定されています。

2.アスベストを取り扱うために必要な技能

【引用】
石綿障害予防規則
(石綿作業主任者の選任)第19条 
事業者は、令第六条第二十三号に掲げる作業については、石綿作業主任者技能講習を修了した者のうちから、石綿作業主任者を選任しなければならない。
(石綿作業主任者の職務)第20条 
事業者は、石綿作業主任者に次の事項を行わせなければならない。

1)作業に従事する労働者が石綿等の粉じんにより汚染され、又はこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること。

2)局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置その他労働者が健康障害を受けることを予防するための装置を一月を超えない期間ごとに点検すること。

3)保護具の使用状況を監視すること。

出典:石綿障害予防規則 第19・20条|e-Gov法令検索

石綿作業主任者の選任

アスベストを扱う作業や、アスベストを試験研究のために製造する作業、またはアスベスト分析用試料の製造作業を行う場合、石綿作業主任者技能講習を修了した者の中から石綿作業主任者を指名しなければなりません。(第19条)

「石綿作業主任者を選任し」という部分に関しては、必ずしも作業室ごとに石綿作業主任者の選任が必要な訳ではありません。

第20条で挙げられている業務のそれぞれが遂行できる範囲ごとに、選任して配置すれば大丈夫です。

石綿作業主任者は、労働者がアスベストの粉じんによって汚染されたり、吸引してしまったりしないように、作業方法を決めて労働者を指導します。

それと同時に、集じん・排気装置の点検や、保護具の使用状況を監視することも必要です。(第20条)

さらに、石綿作業主任者は、隔離作業や、除去作業などで「石綿等に関する知識を有する者」として、作業の完了を確認するのに必要な資格となっています。

3.アスベストの取り扱い業務に必要な教育

【引用】
石綿障害予防規則
(特別の教育)第27条
1) 事業者は、石綿使用建築物等解体等作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について、当該業務に関する衛生のための特別の教育を行わなければならない。

①石綿の有害性
②石綿等の使用状況
③石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置
④保護具の使用方法
⑤前各号に掲げるもののほか、石綿等の粉じんのばく露の防止に関し必要な事項

2) 労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号。以下「安衛則」という。)第三十七条及び第三十八条並びに前項に定めるもののほか、同項の特別の教育の実施について必要な事項は、厚生労働大臣が定める。

出典:石綿障害予防規則 第27条|e-Gov法令検索

アスベストを取り扱う作業者への教育

事業者は、アスベスト使用建築物の解体作業などに従事する労働者に対して、特別な教育を行わなければなりません。(第27条)

教育の内容は第27条に挙げられている以下の内容です。

①石綿の有害性
②石綿等の使用状況
③石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置
④保護具の使用方法
⑤前各号に掲げるもののほか、石綿等の粉じんのばく露の防止に関し必要な事項

この特別教育の科目、範囲、および時間は、石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程に基づいています。
※石綿使用建築物等解体等業務特別教育とは
厚生労働省により定められた教育で、労働安全衛生規則第36条 労働安全衛生法第59条に基づき、危険または有害な業務を行う際に必要な、安全や衛生に関する特別な教育のことを言います。

4.まとめ

ここまで石綿障害予防規則で規制されている内容について解説していきました。

今回取り上げたアスベストを取り扱う作業で規定されている内容は以下の3つです。

1.保護具・作業着の着用について
 必要な性能を満たしている保護具・作業着を着用させる義務

2.石綿作業主任者の選任
 石綿作業主任者技能講習を修了した者の中から石綿作業主任者を選任する義務
 
3.アスベストを取り扱う作業者への教育
 作業に従事する労働者に対して、特別な教育を行う義務

3つともアスベストを取り扱う上では極めて重要な内容となっています。
事業者の方は、正しく内容を理解して法令遵守の対応を怠ることなく実施することが肝要です。

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