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石綿調査の第一段階。設計図書調査のポイントを解説

建築物の改修や解体におけるアスベスト調査では、最初のステップである設計図書調査(書面調査)が極めて重要です。

この調査は、建築図面や記録からアスベスト含有建材の可能性を事前に把握し、効率的かつ安全な現地調査の基盤を築きます。

不十分な書面調査は、アスベストの見逃しや法令違反のリスクを高め、プロジェクトの遅延や近隣住民への被害を引き起こす可能性があります。

今回は、設計図書調査の目的、具体的なポイント、メリット、そして専門家の役割をわかりやすく解説します。

改修や解体を計画する建築業界の皆様へ、安全で法令に適合したプロジェクトを進めるための知識をぜひ参考にしてください。

設計図書調査とは

設計図書調査、すなわち書面調査は、アスベスト調査の第一段階として、建築物の図面や記録を基にアスベスト含有建材を仮特定するプロセスです。

この調査は、現地調査の効率を高め、アスベストの見逃しを防ぐためには不可欠です。建築確認申請書、特記仕様書、仕上げ表などの設計図書を分析し、建材の種類やアスベスト使用の可能性を事前に把握します。

特に1970〜90年代の建築物では、耐火性や保温性のためにアスベストが使用された可能性が高いため、図面からその手がかりを見つけておくことが重要です。

書面調査を省略してしまうと、逆に現地調査が非効率になって、調査漏れのリスクが高まります。書面調査では、調査目的(解体、改修、維持管理など)や対象範囲を明確化し、現地調査の動線計画や建材リストを準備するので効率的な調査が可能となるのです。

このプロセスによって、調査の精度と安全性が向上します。設計図書調査は、アスベスト調査の基盤として、正確なリスク管理をもたらします。

設計図書調査の具体的なポイント

設計図書調査は、効率性と正確性を高めるために、以下の具体的なポイントを押さえて実施します。

まず、発注者との確認が重要です。調査目的(解体、改修、維持管理、資産除去債務の計上など)、対象範囲、破壊調査の可否、調査日程、報告書の内容を事前に相談しておきます。

改修工事で建物を使用中の場合は、天井裏の調査時の飛散防止策や復旧方法も確認しておきます。

次に、情報の入手を行います。建築確認申請書、特記仕様書、仕上げ表などの設計図書や、過去の調査記録、関係者へのヒアリングを通じて、可能な限り多くの情報を集めます。

さらに、情報の読み取りでは、建築物の基礎情報(構造、竣工年)や建材の種類を仮特定し、アスベスト含有の可能性を推定します。また、特記仕様書からは耐火材の使用状況を把握しておきます。

最後に、情報の整理として、現地調査の動線計画や建材リストを作成します。

ここまで調査を行うことにより、現地調査が円滑に進み、調査漏れの可能性を最小限に抑えることができるのです。

設計図書調査の3つのメリット

設計図書調査は、アスベスト調査において3つの重要なメリットをもたらします。

まず1つ目は、調査の効率化です。事前に建築図面や仕様書からアスベスト含有建材を仮特定することで、現地調査の範囲を絞り、作業時間を短縮できます。

特記仕様書に基づく建材リストの作成により、調査対象の特定が容易にできます。

次に2つ目は、調査漏れの防止です。図面や記録からアスベストの使用可能性を事前に把握することで、見逃しのリスクを大幅に低減します。

先に記述したとおり、1970〜90年代の建築物では、アスベスト使用の可能性が高いため、書面調査は必ず実施しましょう。

最後に3つ目として、法令遵守の基盤の構築です。建築基準法や大気汚染防止法に基づく規制を確認して、法令違反のリスクを回避します。

解体前の事前調査でアスベストの有無を正確に把握することで、法令に適合したプロジェクトが実現できます。

専門家による設計図書調査の信頼性

設計図書調査は、専門家の知識と経験があってこそ高い効果を発揮します。

専門家は、建築基準法や大気汚染防止法に基づくアスベスト規制を遵守し、JIS規格に準拠した建材分析や環境省のガイドラインに従った調査を実施します。

この調査では、建築確認申請書や特記仕様書からアスベスト含有建材を正確に仮特定します。

公共施設の改修時の調査では、専門家が竣工図や過去の調査記録を分析することで、アスベスト使用の可能性が高い箇所を特定しています。

専門家の調査は、単なる図面確認だけでなく、関係者へのヒアリングや外部情報の収集を組み合わせることで、調査の精度を高めています。

専門家による設計図書調査は、建築業界の安全基準を満たし、改修や解体プロジェクトの成功を支えます。正確なアスベスト調査の基盤を築くためには、専門家の知識が必要不可欠と言えるでしょう。

まとめ

アスベスト調査の第一段階である設計図書調査は、改修や解体時のリスク管理に欠かせません。専門家の知識を活用することで、効率的かつ正確な調査が実現します。今回のポイントは以下のとおりです。

設計図書調査の役割
アスベスト含有建材の仮特定と現地調査の準備

具体的な調査手順
発注者確認、図面や記録の入手、建材の読み取り、動線計画の整理

調査のメリット
作業時間の短縮、調査漏れの防止、法令遵守の基盤構築

専門家の信頼性
JIS規格や環境省ガイドラインに基づく正確な分析

アスベスト調査を安全かつ法令に適合して行うには、専門家による設計図書調査が必要です。調査を専門家に依頼して、アスベストの見逃しを防ぎ、プロジェクトの遅延や法令違反のリスクを確実に回避しましょう。

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