コンクリートコア抜き作業は、建築現場において様々な目的で行われる重要なプロセスです。配管や電気配線の設置、構造物の強度テストなど、用途に応じて正確かつ効率的に実施することが求められます。
しかし、その一方で、作業には特有のリスクが伴い、適切な準備や注意が不可欠です。本コラムでは、施工業者としてコア抜き作業を依頼する際に留意すべきポイントを整理し、安全でスムーズな作業進行をサポートするための知識を共有します。
1. 作業エリアの養生
コア抜き作業では、コンクリートを切削する際に粉塵や水が発生します。このため、現場周辺の養生が不可欠です。養生が不十分だと、他の作業エリアに汚れが飛散するだけでなく、作業者や他の工事関係者に健康被害を与える可能性があります。また、飛散した粉塵や水が機器に入り込むと、機器の故障や誤作動を引き起こす危険性もあります。そのため、作業エリアの徹底した養生と適切な排水処理が求められます。
養生にはビニールシートや防水シートの使用が一般的です。特に、水を使用した湿式コア抜きでは、コンクリートの削りカスと水が混合した「ノロ」と呼ばれるものが発生します。このノロが周囲に飛散するのを防ぐためにも、シートの重ね合わせや隙間のない貼り付けが重要になります。また、粉塵の発生を抑えるために、必要に応じて集塵機を活用するのもよいでしょう。
また、コア抜き作業の際には、周辺の機器や設備に影響を与えないよう、余裕をもって徹底した養生を行いましょう。ギリギリの養生をするのではなく、万が一に備えて十分な保護を施すことで、作業エリア全体の安全を確保することができます。
2. 埋設物の有無のチェック
コア抜き作業を行う前には、作業箇所に埋設物がないかを確認する必要があります。コンクリートの中には、電気配線や配管、鉄筋などが埋設されていることが多く、これらに誤ってコア抜きのドリルが触れると、重大な事故や工事の遅延を引き起こす可能性があります。
埋設物の確認では、通常、作業前にレントゲンを使ってコンクリート内部に埋設物がないことを確認するのが一般的です。これは、穴開け位置に水道管や電気配線がないことが、コア抜きにおいて最重要項目だからです。埋設物に誤ってドリルが当たってしまうと、重大なトラブルや事故を引き起こす可能性があるため、事前の確認を必ず行いましょう。
特に、電気配線やガス管の破損は、火災や爆発のリスクを伴うため、事前の確認は欠かせません。また、レントゲンと併用して設計図や施工図をもとに、埋設物の位置を事前に把握しておくことも有効です。
もし、レントゲンを使用しない場合は、コンセントや消火栓などの位置を確認し、埋設されている配管や設備を損傷しないよう、穴を開けるポイントや寸法を慎重に検討します。さらに、反対側に障害物がないかどうかも徹底的にチェックし、万全の準備を整えた上で作業をする必要があります。
そして、穿孔作業をする際は、前述したノロの発生状態を常にチェックして、配管に接触していないかどうかを注意深く見極めながら、慎重に行いましょう。
3. 作業後の入念な清掃
コア抜き作業が終了した後の清掃は、現場の安全性と作業の効率を保つために非常に重要です。作業中に発生した粉塵や切り屑、使用した水は、放置すると他の作業に支障をきたすだけでなく、転倒などの事故の原因にもなりかねません。作業終了後には、すぐに清掃を行い、現場を元の状態に戻すことが求められます。
清掃には、掃除機や高圧洗浄機を使用すると効果的です。特に粉塵は、目に見えない微細なものも多いため、丁寧に清掃する必要があります。また、使用した機器や道具もきちんと手入れし、次回の作業に備えておきましょう。
まとめ
コンクリートコア抜き作業は、その正確さと安全性が工事全体の品質に直結する重要な工程です。今回解説した留意すべきポイントは、以下の3つです。
コア抜き作業は、養生が不十分だと、汚れや水が飛散し、機器の故障や健康被害のリスクが高まる。
・埋設物の有無のチェック
電気配線やガス管が埋設されていると、火災や爆発のリスクを伴うため、事前の確認は欠かせない。
・作業後の入念な清掃
コア抜き作業後はすぐに清掃を行い、安全・効率のために現場を元の状態に戻すことが求められる。
これらのポイントをしっかりと抑えることで、リスクを最小限に抑え、作業をスムーズに進めることが可能となります。今回解説した留意点を実践することで、現場の安全性を確保し、信頼性の高い作業結果を得ることができるでしょう。