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あと施工アンカー工法 金属系アンカー

あと施工アンカー工法の金属系アンカーには、金属拡張アンカーと金属拡底アンカーの2種類があります。

金属拡張アンカーは孔に挿入された後、ボルトやネジを回転させることで拡張して孔の壁に固定します。一方、金属拡底アンカーは、孔の底部に拡径部を持っていて、この部分で圧力を伝達して機械的なかみ合い作用を起こすことで固定します。

これらの金属系アンカーは、建築物や構造物の安定性を確保するために使用されていて、高い強度と耐久性を兼ね備えています。

今回は、この2種類の金属系アンカーについてそれぞれ詳しく解説していきます。

金属拡張アンカー

金属拡張アンカーは、あと施工アンカーを打撃したり回転させたりすることで先端の拡張部を広げ、孔壁に押し付けて摩擦力を高めることで固着します。そのため、固着力は母材のコンクリートの孔壁から拡張部が受ける支圧力と摩擦力によって変わってきます。

特殊な例として、構造物の使用中にあと施工アンカー部が雨水を受けるような場合や、塩化物イオンの侵入による腐食環境にさらされる場合には、それらに耐性のある材質のアンカーを選定しなければなりません。

金属拡張アンカーの種類を選ぶ際には、求められる性能を満たしているかどうかを確認します。あと施工アンカーは、所定の寸法、形状、力学的特性で性能が決まるので、各部品の性能をチェックしておきましょう。

金属拡張アンカーの施工注意点

金属拡張アンカーは、高強度のコンクリートに施工する場合、アンカーの拡張部が十分に広がらなくて孔壁に押し付けることができず、十分な摩擦抵抗が得られないことがあります。

摩擦抵抗が小さいと、あと施工アンカーの埋め込み位置からずれてしまいしっかりと固着できません。そのような状態で引張力がかかると、アンカーが抜けたり、予想よりも浅い位置から※コーン状破壊が発生したりすることがあるので、高強度のコンクリートに施工する場合には注意しましょう。

コーン状破壊とは


あと施工アンカー部に引張力が作用したとき、母材であるコンクリートが円錐状に破壊する破壊モードです。破壊モードについては以下の記事の【アンカー部破壊状態の用語】を参照
あと施工アンカー工法の関連用語解説

金属拡張アンカー打込み方式と締付け方式の違いと特徴

打込み方式の金属拡張アンカーには、拡張子打込み型と拡張部打込み型の2種類があります。

拡張子打込み型では、拡張部をくさび状に広げるために、芯棒部品や本体内部のコーン部分を打ち込みます。一方、拡張部打込み型は、アンカー本体を打ち込むことで底部のコーン部分やテーパー付きボルトのテーパー部が広がります。

締付け方式の金属拡張アンカーには、一端拡張型と平行拡張型の2種類があります。

一端拡張型では、接合筋の底部がコーン状やテーパー状に加工されており、接合筋上部のナットを締めることでアンカー本体の底部が広がります。平行拡張型では、接合筋上部のナットを締めることで、アンカー本体のスリーブやウェッジ部分が孔壁に平行に広がります。

金属拡底アンカー

金属拡底アンカーは、コンクリートの孔壁面で固着する金属拡張アンカーとは異なり、あらかじめ穿孔された孔の底部(先端部)に拡径部を持ち、その拡径部で圧力を伝達し、機械的なかみ合い作用で固定するあと施工アンカーです。適切な埋込み長さを確保することで、鋼材を降伏することができるため、アンカーに常時引張力がかかる場合や、長期間にわたり変動する疲労荷重がかかる箇所に対しても有効です。

金属拡張アンカーと同様に、雨水を受けたり、塩化物イオンの腐食環境にさらされる場合は、アンカーの材質選定が重要です。アンカーの種類を選ぶ際は各部品の品質を確認しておきましょう。

金属拡底アンカーの施工注意点

金属拡底アンカーの種類としては、アンカー本体の底部を拡径させながら拡径部を成形するもの(拡径部で部分的に機械的かみ合い作用によって固着するものなど)があります。それぞれの金属拡底アンカーは特性や固着方法、施工方法が異なるため、使用する際には性能が条件を満たしていることを確認しておきましょう。

コンクリート強度とアンカー性能の関係

金属拡底アンカーは、穿孔した孔の底部先端に専用機材などを用いて拡径部を事前に成形し、アンカーの先端部を拡径させることで、支圧力による機械的なかみ合い作用で母材に固着します。

母材のコンクリートの圧縮強度やアンカーボルトの材質・強度などの条件によっては、母材のコンクリートがコーン状破壊することがあります。そのため、施工前にあと施工アンカー部の性能を確認しておきましょう。

まとめ

今回は、2種類の金属系アンカーについて詳しく解説してきました。

金属拡張アンカーと金属拡底アンカーは、どちらも構造物の固定に重要な役割を果たします。

金属拡張アンカーは、孔に挿入された後に回転させることで拡張することで、孔の壁にしっかりと固定します。一方、金属拡底アンカーは孔の底部に拡径部を持ち、機械的なかみ合い作用によって固定します。

どちらのアンカーも、接合筋の種類や寸法に応じて、穿孔や固着時に使用する機材や治具が決められているため、施工手順や管理方法などを把握しておくことが重要です。

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