古い建築物の中には、石綿（アスベスト）含有建材が残っているものが少なくありません。
当社は、そうした石綿残置建物を安全に運用していくため、適切な維持管理が必須です。
石綿は飛散すると健康被害のリスクがあるため、除去せずに残置する場合でも、飛散防止対策が欠かせません。
特に建物を継続利用する際は、利用者や作業者の安全を最優先に考えた管理が求められます。
当社では、長年の現場経験から得たノウハウを活かし、トラブルを起こさない運用術を実践しています。
このコラムでは、石綿残置建物を安心して活用するための実践的なポイントを、プロの視点からお伝えします。
法令遵守はもちろん、現場で役立つ対策を中心にご紹介しますので、参考にしていただければ幸いです。
1. 石綿の位置を正確に把握するマップの作成
石綿残置建物の運用では、まず建物内の石綿含有建材がどこにあるかを明確に把握することが基本です。
事前調査の結果を基に、石綿使用箇所のマップを作成しています。
このマップには、天井、壁、柱、配管周りなどの具体的な部位を記入し、図面上で色分けや記号を使って視覚的に分かりやすくしておきます。
また、建材の種類や危険度の違いも記載しています。
マップ作成時には、調査データをそのまま使うだけでなく、現場で再確認しながら精度を高めます。
改修履歴で一部除去された場合や新たに発見された箇所があれば、すぐに更新を実施します。
さらに、マップは紙とデジタル両方で管理し、管理者や作業者全員が最新版を共有できるようにしておくとよいでしょう。
マップを作成することで、清掃や設備点検、改修工事の際に石綿部位を誤って損傷するリスクを大幅に減らすことが可能です。
2. 定期的な外観検査で劣化を早期発見
石綿含有建材は経年により剥がれやひび割れ、損傷などの劣化が進む可能性があります。
石綿残置建物の安全を維持するためには、年1回以上の定期的な外観検査を推奨します。
この検査では、目視で剥離、破損、風化、湿気による変色などを一つひとつ丁寧に確認します。
特に吹付け石綿のように飛散しやすい建材は、わずかな変化も見逃さないよう細部まで注意を払っています。
検査時にはチェックリストを使い、写真撮影と詳細な記録を残します。
しっかりと記録を残すことで前回との比較がしやすく、微妙な変化も早期に発見できます。
軽微な劣化であれば補修や封じ込めをすぐに行い、著しい場合には除去工事や立ち入り禁止措置を講じます。
建物の利用状況や環境に応じて検査頻度を調整し、飛散事故を未然に防ぐことを最優先にしています。
3. 分かりやすい表示で注意喚起を行う
石綿残置建物の運用では、関係者全員が石綿の存在を常に意識できることが大切です。
石綿含有部位の近くには「石綿含有建材あり」や「注意 石綿含有」といった明確な表示を設置します。
表示は赤や黄色の目立つプレートやステッカーを使用し、文字を大きくして遠くからでも認識しやすくします。必要に応じて絵記号も併用すると効果的です。
封じ込めや囲い込みなどの飛散防止措置を行った部位については、「封じ込め処理済み 損傷注意」などの具体的な内容も記載します。
設置場所は入口ドアや壁面、柱など日常的に目に入る位置を選ぶことがポイントです。
表示を行うことによって、清掃やメンテナンス、改修工事の際に作業者が石綿を意識し、無意識な接触を防げます。
また、表示の定期点検も行い、剥がれや汚れがあればすぐに更新しましょう。
4. 作業時の接触回避と空気中濃度の監視
石綿残置建物の運用では、関係者全員が石綿の存在を常に意識できることが大切です。
石綿含有部位の近くには「石綿含有建材あり」や「注意 石綿含有」といった明確な表示を設置します。
表示は赤や黄色の目立つプレートやステッカーを使用し、文字を大きくして遠くからでも認識しやすくしています。また、必要に応じて絵記号も併用しています。
封じ込めや囲い込みなどの飛散防止措置を行った部位については、「封じ込め処理済み 損傷注意」などの具体的な内容も記載します。
設置場所は入口ドアや壁面、柱など、なるべく日常的に目に入る位置を選びましょう。
この表示により、清掃やメンテナンス、改修工事の際に作業者が石綿を意識し、無意識な接触を防げます。
表示の定期点検も行い、剥がれや汚れがあればすぐに更新します。
こうした視覚的な対策を徹底することもトラブルの回避には重要です。
まとめ
石綿残置建物をトラブルなく運用するため、私どもは以下のポイントを徹底しています。
- 石綿位置のマップ作成で正確な把握を実現する
- 年1回の定期外観検査で劣化を早期発見する
- 明確な表示で関係者の注意を常時促す
- 作業前の通知と定期的な濃度測定で飛散を防止
これらの対策を日々実践することで、石綿関連の事故を未然に防ぎ、安全な建物運用を続けています。
特に吹付け石綿がある建物では、建築基準法の規制にも細かく対応しています。
石綿のリスクを最小限に抑えながら建物を長く活用するためには、地道な管理が何より大切です。
建物管理において、今回解説した手法を参考にしていただければ幸いです。