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コラム

アスベスト除去作業の後処理における注意点

アスベスト除去作業は非常に危険であり、後の処理においても厳重な管理と徹底した安全対策が必要です。

作業終了後もアスベスト繊維が作業場に残留する可能性があるので、しっかりと後処理を行わなければ、作業員や周囲の環境に深刻な健康被害をもたらします。

今回は、アスベスト除去作業後の後処理における注意点について解説します。

1. 作業場内の清掃

アスベスト除去作業が完了した後は、作業場内の徹底した清掃を行う必要があります。

清掃は高い場所から低い場所へと順を追って行い、天井面の照明器具や設備機器、什器備品などの養生面に付着した埃や廃棄物を払い落とします。

仮設機材や足場、作業台に残った廃材もすべて除去し、最後に床面を清掃してアスベストの廃棄物を全て袋詰めします。清掃作業は、アスベスト繊維の飛散を防ぎ、作業環境の安全性を確保するために欠かせません。

2. 最終検査と記録

清掃後は、除去対象建材の取り残しがないか最終検査を行います。検査は、アスベストの専門家が担当し、除去の取りこぼしがあれば再度丁寧に除去します。

また、必要に応じて作業内容を写真で記録し、除去できない部分は記録に残しておきます。除去工事業者は、関係者への説明会を設け、作業の範囲や内容について報告し、認識の違いが生じないように配慮します。

3. 粉じん飛散防止処理剤の散布

検査終了後は、除去面や隔離シート、養生シートに粉じん飛散防止処理剤を散布します。

床だけではなく空気中にも散布して、アスベスト粉じんを沈降させます。飛散防止処理剤の使用は、目に見えない床や空気中の粉じんが除去できるので、安全確保には有効な手段です。

4. 使用工具・資機材の搬出

使用した工具や仮設機材を作業場から搬出する際も、アスベストの飛散防止策を徹底する必要があります。

機材に付着した粉じんを、濡れ雑巾や高性能真空掃除機で除去し、清掃後は養生したシート類を取り外して梱包します。搬出はセキュリティゾーンを通して行い、周囲の環境に影響を与えないようにします。

5. 空気の集じん・排気とクリーンな空気への置換

負圧隔離を解除する前に、作業現場からアスベストが外部に漏れないようにします。これは、清掃と集じんを行って、位相差顕微鏡などで空気中の繊維の濃度を測定することを指します。

位相差顕微鏡とは

生物細胞の観察や臨床検査でよく使われます。例えば、歯科ではプラーク中の細菌検査、皮膚科では真菌検査、血液検査や染色体検査、尿の沈殿物や微生物の検査、珪藻の観察などに利用されます。また、アスベストやポリマーといった透明な物質の観察にも多く使われています。

作業終了後には、隔離空間内に残っている粉じんを処理するため、粉じん飛散防止処理剤を空中散布して沈降を促し、集じん・排気装置で粉じんを吸い取ります。効率を高めるため、処理剤の再散布やサーキュレーターの併用、排気容量の増加などを行うと効果的です。

これらの対策を実施した後、空気中の繊維濃度を測定し、外部環境と同じレベルに達していることを確認してから、隔離を解除します。測定は通常、位相差顕微鏡を用いますが、自動測定器も利用可能です。その際、測定結果に影響が出ないよう、処理剤が十分に沈んでから測定します。

6. 集じん・排気装置の清掃

除去作業が終わった後、集じん・排気装置を撤去する際は、まず装置を停止して隔離解除前に1次と2次フィルタを取り外し、二重に袋詰めして廃棄します。

装置内部は高性能真空掃除機で清掃し、その後、新しいフィルタを取り付けます。HEPAフィルタも交換時期が近ければ、この時に交換します。

HEPAフィルタとは

HEPAフィルタは、空気中の微粒子を非常に効果的に取り除くことができるフィルタの一種です。空気清浄機、掃除機、医療機器、クリーンルームなど、空気中のホコリやアレルゲン、細菌、ウイルスの除去が必要な場所で使用されています。

装置の点検や整備は隔離空間内で行うのが理想です。新しいフィルタを装着した後、目視で破損がないか確認し、スモークテスターでフィルタ面以外からの吸い込みがないかもチェックします。点検とフィルタ交換の記録は、装置に保管して次回作業に備えます。

清掃とフィルタ交換、漏れの確認後、吸入口と排気口を密封し、装置を梱包材で保護して搬出します。自社資材置き場で隔離が可能な場合、装置を持ち帰って清掃や交換作業を行います。

装置の点検修理は、負圧環境下の隔離された作業場や汚染除去室で行い、個人用保護具などを使用して粉じん漏れを防ぐ必要があります。装置は0.15mm以上のプラスチックシートで二重梱包し、自社便で輸送します。修理場所では、粉じん漏出と個人ばく露防止対策が必須です。

まとめ

今回は、アスベスト除去作業の後処理における注意点について解説しました。
重要なポイントは、以下の通りです。

1. 作業場内の清掃
アスベスト除去後は、天井から床まで徹底的に清掃し、安全な作業環境を確保する。

2. 最終検査と記録
清掃後、専門家が建材の取り残しを検査し、必要に応じて再除去する。

3. 粉じん飛散防止処理剤の散布
検査後、除去面やシートに処理剤を散布し、粉じんの沈降を促進する。

4. 使用工具・資機材の搬出
使用した工具や機材は、粉じんを除去してから搬出し、環境への影響を最小限に抑える。

5. 空気の集じん・排気およびクリーンな空気への置換
作業終了後、空気中のアスベスト粉じんを吸引し、処理剤を散布して沈降させる。その後、空気の状態を測定し、安全が確認されてから隔離を解除する。

6. 集じん・排気装置の清掃
集じん・排気装置は、隔離空間内で清掃し、フィルタ交換記録を作成する。搬出時は汚染防止策を徹底する。

アスベスト除去作業の後処理は、作業場内の安全性と周囲環境の保全には重要な役割を果たします。

徹底した清掃、最終検査、粉じん飛散防止処理剤の使用、使用工具の適切な取り扱い、空気の集じん・排気装置の運用と清掃、これらすべての工程を確実に行うことで、作業後の安全性を高めることができます。

アスベストの危険性を理解し、徹底した管理と処理を行うことが、関係者の健康と安全を守るための最善の策となります。

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