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コラム

石綿調査者の必須知識 石綿分析依頼のポイント

建築物内の石綿(アスベスト)含有建材の管理は、解体や改修工事の安全性を確保する上で欠かせません。

石綿の有無や含有量を正確に把握するためには、専門の分析機関への試料分析依頼が重要です。

しかし、分析結果を効率的に活用するには、調査者自身が分析依頼のプロセスや注意点を熟知している必要があります。

このコラムでは、石綿分析依頼の手順、分析方法の概要、依頼時のポイントを詳しく紹介します。

調査者が正確かつ効率的に分析を進めるための実践的な情報を解説しますので、ご参考にしていただければ幸いです。

石綿分析依頼の基本手順

石綿分析を依頼する際は、試料の採取から送付まで厳格な管理が必要です。

採取した試料は適切に処理し、試料番号、部屋名、部位、建材製品名、採取年月日を試料袋に正確に記入します。分析依頼書にもこれらの情報を漏れなく記載します。

等量混合で分析する場合、複数の試料を1つの袋にまとめ、混合する旨を明記します。すべての試料は三重のビニール袋に封入し、分析依頼書を同封して発送します。

この際、試料の取り違えを防ぐため、調査者が記入から封印まで責任を持って行うことが重要です。

分析依頼書には、チェインオブカストディ(分析試料受取管理欄)を設け、試料採取者、送付者、受取者、分析者の個人名と実施日時を記載します。

チェインオブカストディ(Chain of Custody)とは

「管理の連鎖」を意味し、試料の採取から分析までの過程において、どのように扱ったかの記録をたどり、改ざんや紛失がないことを証明し、試料の管理と受け渡しの責任を明確化するための記録システム。

このチェインオブカストディにより、試料の取り違えや紛失を防ぎ、分析の信頼性を確保します。

発送票や依頼書の控えは保管し、封入時には分析機関が開封時に試料袋を切る際の飛散を防ぐため、「切り代」を考慮した封入を実施します。

分析方法の指定と留意点

石綿分析には、複数の分析方法が定められており、依頼時に適切な方法を指定する必要があります。主な分析方法は以下の通りです。

JIS A 1481-1(偏光顕微鏡法)
アスベスト分析マニュアルの定性分析方法1で、石綿の有無を特定する。

JIS A 1481-2(X線回折分析法・位相差分散顕微鏡法)
石綿の有無だけでなく、具体的な種類や他の繊維との区別を高精度に行う。

JIS A 1481-3(X線回折分析法)
定量分析方法1で、石綿の含有量を測定する。

JIS A 1481-4(偏光顕微鏡法)
定量分析方法2で、含有量を評価する。

電子顕微鏡法
定性分析方法3で、高精度な分析が必要な場合に使用する。

特に、吹付け石綿など発じんリスクが高い建材の分析では、含有率を把握し、ばく露防止対策の参考とするため、定量分析(JIS A 1481-3または4)を依頼することが推奨されています。

また、石綿則に基づく事前調査では、上記の分析方法を正確に指定する必要があります。

例えば、電子顕微鏡法を依頼する場合は、その旨を明記します。これは分析に対する正確な知識がないと対応は困難でしょう。

分析依頼書の記載事項と注意点

分析依頼書には、正確な情報伝達と分析の効率化のために、必要な事項を明確に記載する必要があります。

まず、分析結果報告書の必要部数を指定します。速報の受領方法については、FAXまたはPCメールを指定します。

納期については、「大至急」などの曖昧な表現ではなく、具体的な日時を記載します。試料数の表記では、3つの試料を等量混合で1検体とする場合、「1/3」と明記します。

また、繊維観察の写真添付については、不検出の場合に省略される可能性があるため、分析機関に明確な指示が必要です。

この記載を徹底することで、分析機関との情報共有がスムーズになり、誤解やミスを防ぐことができます。

情報伝達と責任分担の重要性

石綿分析のプロセスでは、書面調査、現地調査、試料採取、分析に至るまで、正確な情報伝達と責任分担が不可欠です。

調査者は、試料採取履歴に試料番号、採取場所、建材名などの必要事項を記入し、分析機関に確実に伝達する必要があります。

チェインオブカストディを活用することで、試料の受け渡しや保管の責任を明確化し、試料の取り違えや紛失を防ぎます。

例えば、試料の記載ミスや取り違えが発生すると、分析結果の信頼性が損なわれ、施工時の安全対策にも影響を及ぼします。

調査者が責任を持って試料管理を行い、分析機関と密に連携することで、正確な分析結果を得ることができるのです。

発送票や依頼書の控えを保管しておくと、後の検証やトラブル対応に備えることができます。

まとめ

石綿分析依頼は、建築物の安全な管理に欠かせないプロセスです。調査者が分析方法や依頼手順を理解し、適切に対応することで、信頼性の高い結果を得られます。以下に、今回の要点をまとめます。

試料管理の徹底
試料袋と依頼書に試料番号や採取情報を正確に記載し、三重袋で封入。調査者が責任を持って管理する。

分析方法の指定
JIS A 1481-1~4や電子顕微鏡法を状況に応じて指定する。発じんリスクが高い場合は定量分析を推奨。

依頼書の記載
報告書の部数、速報の受領方法、納期、試料数、写真添付の有無を明確に記載。

情報伝達と責任分担
チェインオブカストディを活用し、試料の受け渡しと保管の責任を明確化。調査履歴を正確に伝達。

これらのポイントを押さえ、石綿調査者は分析結果を的確に評価し、安全な施工に活かすことができるのです。

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