報告および検査
【引用】
大気污染防止法(報告及び検査)
第二十六条1 環境大臣又は都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、(中略)
施設その他の物件を検査させることができる。2 前項の規定による環境大臣による報告の徴収又はその職員による立入検査は、大気の汚染により人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを防止するため緊急の必要があると認められる場合に行うものとする。
3 第一項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
行政庁は、作業基準の順守状況などを把握するため、工事の発注者、元請業者、自主施工者、下請負人に対して、解体等工事に関する建築物の状況などについて報告を求め、また、解体等工事が開始される前に、建築物、解体等工事の現場、営業所、事務所、およびその他の事業場に立ち入って検査を行う権限を持っています。
立入検査が入るような事態にならないように、以下の内容に注意しましょう。
1)報告の正確性と迅速な提出
作業基準の順守状況などに関する報告は、正確で完全な情報を提供してください。また、提出書類はできるだけ早く届出するよう心がけてください。
2)建築物の状況把握
解体等工事に着手する前の建築物の状況把握は、詳細かつ明確に行ってください。問題があれば積極的に報告しましょう。
3)法令順守と安全管理
作業基準や法令に厳密に従い、特に安全規定を遵守するよう努めてください。また、安全対策に関する正確で実効的な情報を提供し、安全管理を徹底して実施してください。
4)相互情報共有
関係者間で情報を共有し、問題や変更事項があれば、迅速に連絡し合ってください。特に、届出内容に変更が生じた場合は、他の関係者や行政庁と情報を共有することが重要です。
上記を守り、円滑な工事の進行と安全な作業環境の確保に努め、行政庁との信頼関係を強化することが重要です。
1,国の施策および地方公共団体の施策
国は、特定建築材料の使用の有無を把握し、特定工事に伴う特定粉じんの排出や飛散の抑制に関する施策を実施するために必要な情報を収集、整理し、提供する努力を行わなければなりません。
地方公共団体は、建築物の所有者、管理者、または占有者に対して、特定建築材料やその使用の有無に関する知識の普及を促進し、国の方針と協力して、地域の状況に応じて特定工事に伴う特定粉じんの排出や飛散を抑制するための必要な対策を講じるよう努めなければなりません。
つまり、国や地方自治体も、アスベスト対策には相当の労力を費やしているということです。
2,事務の処理
【引用】
大気污染防止法施行令(政令で定める市の長による事務の処理)
第十三条法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、ばい煙の排出の規制、粉じんに関する規制及び水銀等の排出の規制に係る次に掲げる事務(工場に係る事務を除く。)、法第十七条第二項の規定による通報の受理に関する事務、同条第三項の規定による命令に関する事務並びにこれに伴う法第二十六条第一項の規定による報告の徴収及び立入検査に関する事務、法第二十条の規定による測定に関する事務、法第二十一条第一項の規定による要請及び同条第三項の規定による意見を述べることに関する事務、法第二十二条第一項の規定による常時監視及び同条第二項の規定による報告に関する事務並びに法第二十四条第一項の規定による公表に関する事務は、小樽市、室蘭市、苫小牧市、所沢市、市川市、松戸市、市原市、平塚市、藤沢市、四日市市、加古川市及び大牟田市の長(以下「政令市の長」という。)が行うこととする。この場合においては、法及びこの政令中この項前段に規定する事務に係る都道府県知事に関する規定は、政令市の長に関する規定として政令市の長に適用があるものとする。
難しい文言がならんでおりますが、
大気汚染防止法における特定粉じん規制に関する事務は、都道府県知事に権限があります。また、届出の受理や各種の命令に関する業務は、大気汚染防止法上の政令市に委任されています。
これには、工場に関連するもの(工場内の建築物などを含む)が含まれ、判断が難しい事務処理が必要です。そのため、地方公共団体の対応能力などを考慮して、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項に基づき、また、指定都市の長および同法第252条の22第1項に基づいて、中核市の長だけが都道府県知事の権限に属する事務を委任されています。
ただし「粉じんに関する規制に係る事務」のうち建築物の解体などに伴う粉じんの排出に関する事務は、「工場に係る事務」には該当せず、これらの業務は同条に基づいて指定された市の長が担当します。
また、都道府県の条例により、特定粉じん排出等作業に関する届出の受理権限などが委任されている市も存在します。
要するに、これらは規制が複雑なので、事務処理も権限を委任して柔軟に対応しているということです。
まとめ
アスベストに関する法規制は、複雑で理解が難しい部分があります。国や自治体も複雑な規制に対応するために、様々な試みを行っています。
工事関係者の方は、解釈を間違えて対応してしまうと立入検査が入る可能性もあるので、内容を正確に把握しておくように注意しましょう。