1.アスベストを取り扱う作業場の表示
【引用】
石綿障害予防規則
(掲示)第34条
事業者は、石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、次の事項を、見やすい箇所に掲示しなければならない。1)石綿等を取り扱い、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場である旨
2)石綿により生ずるおそれのある疾病の種類及びその症状
3)石綿等の取扱い上の注意事項
4)当該作業場においては保護具等を使用しなければならない旨及び使用すべき保護具等
表示の内容と手段
石綿障害予防規則第34条では、アスベストを扱う作業場に表示する内容が定められています。
これらの表示は、労働者がいつでも簡単に確認できる場所に掲示する必要があります。
内容としては、事前調査や分析調査の終了日、結果の要約、アスベストによる疾患・種類・症状、また、アスベストの取り扱い注意事項、必要な保護具について掲示しなけばなりません。(第3条第8項)
事前調査結果の掲示は、周辺住民と作業者の両方が見やすい状態にすることが理想的です。
掲示の大きさについては、A3判(29.7cm × 43cm)以上で、縦横の指定はありません。
2.石綿曝露の危険性についての留意事項
【引用】
石綿障害予防規則
第2節 労働者が石綿等の粉じんにばく露するおそれがある建築物等における業務に係る措置
第10条
1)事業者は、その労働者を就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(次項及び第五項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならない。2)事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(第五項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない。
3)事業者は、前項のおそれがある場所における作業の一部を請負人に請け負わせる場合であって、当該請負人が当該場所で臨時に就業するときは、当該請負人に対し、呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用する必要がある旨を周知させなければならない。
4)労働者は、事業者から第二項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。
5)法第三十四条の建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた二以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、第一項に規定する措置を講じなければならない。
石綿障害予防規則第10条で規定されている措置
石綿障害予防規則第10条は、事業者が危険性がある建築物に従業員を配置する際の規定です。
吹き付けられたアスベストやアスベスト含有保温材などが、損傷や劣化により粉じんを発散させると労働者が曝露する危険性があります。その場合において、アスベストの取り除きや封じ込め、囲い込みなどの対策を義務付けているものです。(第1項)
同時に、そのような現場に従業員を配置する際には、呼吸用保護具や作業衣、または保護衣の着用を従業員に対して義務付ける必要があります。(第2項)
そして、従業員はこれらの保護具の使用が命じられた場合、遵守する必要があります。(第3項)。
第2項に謳われている「その労働者を臨時に就業させる」とは、労働者が通常は立ち入らない場所で一時的な作業に従事させることを指します。例えば、天井裏やエレベーターの昇降路などでの設備の点検や補修作業、掃除などが該当します。
テナントなど複数の事業者が共有する場所で、吹き付けアスベストやアスベスト含有保温材が損傷や劣化により粉じんが発散すると、労働者に曝露する危険性があります。その場合、建築物の所有者は取り除きなどの対策を講じなければなりません。(第4項)
また、アスベスト含有建材の使用が明らかになった場合は、労働者に対してアスベスト含有建材の損傷や劣化により、粉じんに曝露する危険性がある旨を周知して情報提供することが望ましいです。
まとめ
今回は、「アスベストを取り扱う作業場の表示」と「石綿曝露の危険性についての留意事項」について解説しました。
ポイントは、以下のとおりです。
事前調査や分析調査の終了日、また結果の要約、アスベストによる疾患・種類・症状、また、アスベストの取り扱い注意事項、必要な保護具などを明記する。
2.アスベストを取り扱う作業場の表示手段
事前調査結果の掲示の大きさは、A3判(29.7cm × 43cm)以上、縦横の指定はない。
周辺住民と作業者の両方が見やすい状態を確保する。
3.石綿障害予防規則第10条で規定されている措置
危険がある場合、アスベストの取り除きや封じ込め、囲い込みなどの対策
特定の作業場所においては、従業員に呼吸用保護具や作業衣・保護衣の着用をさせる。
アスベストの危険性を共有することで、未然に被害を防ぐように努めましょう。