06-6797-6025

06-6710-4477

大阪市平野区喜連西1丁目19-47

インターネットからのお問合せ

コラム

石綿含有成形板の除去時に知っておくべき飛散防止の基本 その1

近年、建築物の解体工事における石綿(アスベスト)対策が強化され、特に石綿含有成形板の取り扱いについては、新たな規制や基準が設けられています。今回は、石綿含有成形板の除去作業における飛散防止対策の基本的な考え方と具体的な措置について解説します。

石綿含有成形板とは

石綿含有成形板は、セメントやけい酸カルシウムなどの材料と石綿を混合して成形された建材です。その優れた耐熱性や耐久性から、建築物の屋根、外壁、内壁、天井、床など、様々な部位に使用されてきました。

通常の使用状態ではアスベスト繊維が飛散することは少ないものの、解体や改修工事における切断・破砕作業時には、アスベスト繊維が飛散するリスクが高まります。

法規制の変更と強化

2020年5月の大気汚染防止法(大防法)改正により、石綿含有成形板等は特定建築材料に指定され、2021年4月から施行されました。また、2020年7月には石綿障害予防規則(石綿則)も改正され、同年10月から施行されています。これにより、石綿含有成形板の除去作業においては、より厳格な飛散防止対策が求められることになりました。

事前調査と計画策定の重要性

解体等工事を行う前には、以下の手順で慎重な準備が必要になります。

1. 網羅的な事前調査の実施
2. 発注者への書面による調査結果の報告
3. 詳細な作業計画書の作成
4. 作業者への計画内容の周知

特に、石綿の含有量が0.1重量%を超える場合は、特別な除去手順と廃棄物処理が必要となります。

具体的な飛散防止措置

1. 原形のまま取り外すことが原則

石綿含有成形板を取り外す際には、できる限り形を保ったまま原形で取り外すことが基本的な方針です。切断や破砕を行わないことで、石綿の飛散を最小限に抑えて、作業者や周囲の人々への健康リスクを減らすことにつながります。

取り外し作業では、固定されているボルトや釘などを一本一本丁寧に取り外し、石綿含有成形板を傷つけないように気を配ります。特に、破損やひび割れが発生しやすい部分については慎重に進め、手作業で少しずつ取り外します。

また、工具の使用は最小限に抑えます。もし、工具を使用する場合は、極力、板への負荷がかからないように行います。

上記の方法を徹底することで、材料を元の形のまま安全に取り外せるので、石綿の飛散や漏洩のリスクが低減できます。

2. 切断が必要な場合の対策

現場の状況によってどうしても切断が必要になる場合には、石綿の飛散を防ぐために対策を実施します。

まず、作業に入る前に十分に湿潤化を行い、石綿含有成形板を水でしっかり湿らせておくことで、切断時の粉じんの発生を抑えます。また、切断作業中も切断面に対して継続的に水をかけ続けて、空気中に石綿が飛び散るのを防ぎます。

切断には専用の集じん機能を備えた電動工具を使用し、発生する粉じんをその場で吸引・集じんするようにします。

さらに、必要に応じて作業エリアをビニールシートなどで隔離し、周囲のエリアに石綿が飛散しないように養生の措置を実施します。

これらの対策を組み合わせることで、安全に切断作業を進め、石綿の拡散を最小限に抑えることができます。

3. けい酸カルシウム板第1種への特別な配慮

けい酸カルシウム板第1種は、他の成形板に比べて、割れたり砕けたりした際に石綿繊維が飛散しやすい性質があるため、取り扱いには特に注意が必要です。

作業前には、十分な湿潤化を行い、板全体をしっかりと湿らせて飛散リスクを軽減します。さらに、作業中も湿潤状態を維持し、乾燥してしまわないよう継続的に水をかけることで、飛散を防止します。

また、このタイプの板を取り扱う際は、作業エリア全体をビニールシートなどで覆って隔離する養生措置が不可欠です(負圧の管理までは不要)。こうした細かな対策を徹底することで、けい酸カルシウム板第1種の安全な取り扱いが可能となり、作業環境の安全性を保つことができます。

作業者の安全確保と教育

作業現場での安全性を確保し、作業者が安心して作業を行うためには、いくつかの措置が欠かせません。

まず、すべての作業者が石綿に関する特別教育を受講し、石綿の特性や安全な取り扱い方法について十分に理解しておく必要があります。さらに、現場には「石綿作業主任者」を選任して配置し、作業中の安全管理とリスク対応を担う責任者として従事してもらいます。

加えて、作業者には保護具を着用して、石綿の粉じんが体内に入らないようしっかりと防護することも重要です。現場の周囲には関係者以外が入れないよう立入禁止の措置を徹底し、無関係の人々が誤って現場に入らないよう安全管理を強化し、リスクを最小限に抑えることができます。

記録と管理の重要性

作業を正確に進め、将来の参考資料として活用できるよう、しっかりと記録・管理することが非常に重要です。

まず、作業に先立って行われた事前調査の結果を記録し、作業対象や周囲の状況を把握できるようにします。次に、作業計画書を作成し、作業の手順や安全対策について明確に示すことで、計画に基づいた作業が可能になります。

さらに、作業中の進捗状況や特筆すべき事項についても記録し、後から内容を確認できるようにしておきます。そして、作業が完了した後には、完了確認の記録を残し、計画通りに作業が実施されたことを証明します。

記録を保存することで、将来的な点検や報告、そして次回以降の作業における参考資料として役立てることができます。

まとめ

石綿含有成形板の除去作業は、作業者の安全確保と環境保全の両面から、細心の注意を払って実施する必要があります。適切な計画策定、作業者教育、飛散防止措置の実施、そして確実な記録管理が、安全な作業の実現には不可欠です。

また、地域によって条例等に基づく独自の規制が設けられている場合もあるため、作業開始前には必ず所轄の自治体に規制の確認を実施します。

関係法令を遵守し、適切な飛散防止対策を実施することで、作業者と周辺環境の安全を確保しながら、石綿含有成形板の除去作業を確実に進めることが可能になります。

都築ダイヤモンド工業では、今後も法規制の動向に注意を払い、より安全で効率的な作業方法の確立を目指して参ります。

 

-コラム

© 2024 大阪のX線探査なら都築ダイヤモンド工業株式会社