石綿(アスベスト)を含む建材の除去作業は、作業者の健康を守り、周囲の環境を保護するために非常に重要です。
このコラムでは、石綿含有成形板を安全に除去する際に欠かせない基本的なポイントや作業手順について、わかりやすく説明していきます。安全な作業を行うための知識を深め、リスクを減らすための参考にしていただけると幸いです。
1. 事前準備の重要性
作業計画の策定
石綿含有成形板が使用されている場合、その除去作業を安全かつ適切に進めるために、法令に準拠した計画を立てることが不可欠です。大気汚染防止法や労働安全衛生法に基づく届出義務はありませんが、計画を立案するうえでいくつかの注意点があります。
まず、地域ごとの規制を確認し、都道府県などで独自に定められている届出要件がないかどうかを把握することが重要です。
また、石綿含有物の取り扱いに伴い粉じんが発生しないよう、可能な限り粉じんの抑制に適した工法を採用します。さらに、作業対象の建物構造を詳細に把握し、構造に適した施工手順を計画に盛り込むことで、効率的で安全な作業が可能になります。
除去作業によって発生する廃棄物についても、他の建築廃材と混ざらないように計画段階で分別管理方法を決めておく必要があります。このように事前準備を徹底することで、作業中の安全性が向上し、作業者や周辺環境に与えるリスクを最小限に抑えることができます。
2. 作業環境の整備
隔離養生の実施
特に石綿含有けい酸カルシウム板第1種を切断する際には、周囲への飛散を防ぐために隔離養生が欠かせません。
まず、作業区域をしっかりと区画し、明確に区切ることで、安全性を高めます。そして、養生シートでしっかりと封じ込めることで、石綿の拡散を防ぎます。周囲の環境に対する影響も十分に考慮し、必要に応じて、隣接する建物がある場合には、さらなる防護措置を追加します。
湿潤化対策
粉じんの飛散を抑えるために、湿潤化対策を徹底することも重要です。切断する部分には十分な湿潤を施し、周囲の設備や機器に影響が出ないかを確認してから作業を進めます。また、散水の方法についても状況に適した方法を選び、周囲の環境や排水処理に影響を及ぼさないように配慮しながら作業を行います。
3. 除去作業の実施手順
作業時の注意点
作業を行う際には、まず可能な限り少ない切断で作業を完了できる工法を選択し、石綿の飛散リスクを抑えます。また、作業者は必ず保護具を着用し、石綿の粉じんから身を守ります。さらに、対象物が湿潤状態を保っているかを随時確認し、粉じんの飛散を防止します。作業区域内は整理整頓を徹底し、安全で効率的な作業環境を整えることが大切です。
廃棄物の適切な処理
石綿含有廃棄物を取り扱う際には、特に慎重な対応が必要です。廃棄物は専用の容器に保管し、飛散防止対策をしっかりと行ったうえで、他の廃棄物と明確に分別します。容器には表示を付けて、廃棄物が石綿を含むことが一目でわかるようにすることで、安全な管理と処分が可能になります。
4. 清掃・後片付け
作業場所の清掃
作業が完了したら、周囲の清掃を慎重に行います。まず、高性能の真空掃除機を使用して、細かな粉じんまで丁寧に除去します。その後、養生シートを慎重に取り外し、周囲に粉じんが残っていないか最終確認としてもう一度清掃を行います。こうして徹底的に清掃することで、周囲への石綿の飛散リスクを最小限に抑えます。
使用器具や保護具の処理
使用した工具は適切に清掃し、再利用に備えます。また、作業で使用した保護具は、適切な方法で処分し、再使用しないようにします。養生材についても、作業後は適切に処分し、石綿の付着物が周囲に影響を与えないように管理します。これにより、安全かつ確実な作業後処理が実現します。
5. 記録と確認
作業記録の保管
作業の記録はしっかりと残しておくことが求められます。作業内容については、詳細に記録し、各工程を写真などのビジュアルで補強することで、後からも状況が確認できるようにします。また、廃棄物の処理状況についても記録を保管し、処分が適切に行われたことを証明できるようにしておきます。
最終確認事項
作業後には、石綿が周囲に飛散していないかを再確認し、安全が確保されていることを確認します。さらに、作業によって周辺環境に影響が出ていないかも確認し、必要に応じて関係者に報告を行います。この処置で、作業の完了が確実であり、周囲への影響が最小限に抑えられていることが確認可能となります。
まとめ
石綿含有成形板の除去作業は、作業者の安全と環境保護の両面から、細心の注意を払って実施する必要があります。適切な計画立案、確実な養生、丁寧な作業実施、そして適切な廃棄物処理まで、一連の作業を確実に実施することが重要です。
特に、粉じんの飛散防止に関する対策は最も重要な要素となりますので、都築ダイヤモンド工業では、今回解説した基本事項を順守し、安全な作業実施を心がけて業務に臨んでいます。おります。