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コラム

施工のプロが押さえるべき石綿含有塗材の飛散防止策 その2

前回その1では、石綿含有塗材の特性や確認方法、飛散防止策の基本方針について解説しました。

今回は、現場で実践すべき具体的な飛散防止策について、さらに詳しく掘り下げていきます。法令で定められた基準や効果的な対策を理解し、施工現場の安全性を高めるための知識を身につけましょう。

 

具体的な飛散防止策

石綿含有塗材の除去作業において、飛散防止策を実施することは、安全確保のための最重要課題です。現場での対策を講じることで、作業者や周辺環境への影響を最小限に抑えることができます。

まずは、作業エリアの密閉を実施します。除去作業を行う範囲をシートやパネルで完全に囲い、アスベスト繊維が外部へ漏れ出さないようにします。さらに、作業エリア内は負圧に保つことで、アスベスト繊維の流出リスクを抑制することができます。この際には、集じん・排気装置の設置が必要になります。

また、湿式工法を採用することで、アスベスト繊維の飛散を効果的に防ぎます。水や専用の抑制剤を吹き付けて材料を湿らせた状態で除去作業を進めると、乾燥した状態よりも飛散リスクが大幅に低減します。また、作業者には防護マスクや防護服の着用を徹底させ、個人レベルでの安全確保も欠かせません。

作業終了後には、現場の徹底的な清掃と飛散モニタリングを行い、残存するアスベスト繊維の有無を確認します。使用済みの資材や廃棄物についても、適切に梱包し、法令に基づいた処理方法で処分することが必要です。

 

具体的な飛散防止策の重要性と実施ポイント

石綿含有仕上塗材を除去する際には、アスベストの飛散を防ぐため、特に慎重な対策が必要です。ただ、吹付け石綿や石綿含有耐火被覆材に比べると、飛散のリスクが低いケースもあります。

これは、建材の粉じんの出やすさや、石綿の含有量、除去方法が異なるためです。それでも、適切な対策を選ばなければ、アスベスト飛散のリスクを完全に防ぐことは難しいため、事前の計画が重要です。

また、仕上塗材で石綿を含む可能性があるのは、主材と下地調整塗材です。下地調整塗材は、仕上塗材を塗る前にコンクリート表面の凹凸を整えるために部分的に使われますが、必ずしも全体に使用されているわけではありません。

そのため、除去作業の前に、それぞれの材料に石綿が含まれているかを調べ、リスクをしっかり確認する必要があります。

さらに、改修工事では、劣化した主材や下地調整塗材が剥がれることがあります。この場合、剥がれた原因や塗材の劣化状態を正確に把握し、必要に応じて試料を採取して分析することが重要です。特に、劣化した主材を取り除く際には、石綿が含まれている可能性を見逃さないことが大切です。

また、外壁用の塗膜防水材や公営住宅で使用されるマスチック塗材にも石綿が含まれている場合があるため、これらの除去も石綿含有仕上塗材と同じ方法で行う必要があります。

そのため、適切な養生や密閉措置を施し、湿式工法を採用するなどの対策が求められます。作業中や作業後には環境モニタリングを徹底し、現場全体でアスベストの飛散を防ぐ対策を行うことが不可欠です。

こうした飛散防止策を講じることで、作業者や周囲の安全を確保するだけでなく、施工現場の信頼性を大きく高めることができます。計画段階から実行まで、慎重かつ正確な対応が求められる分野であり、施工のプロとしての責任が問われる部分でもあります。

 

マスチック塗材とは

マスチック塗材は、屋内外の壁に厚く塗装する工法で、省力化ローラ工法とも呼ばれます。凹凸のある仕上がりで耐久性が高く、吹付け工法に比べて作業環境が汚れにくく、飛散も少ないため環境負荷が低いのが特徴です。また、技術習得が容易で硬化時間も短い利点があります。

さらに、弾性塗料を使う弾性マスチック工法では、ヒビ割れに強く防水性が高まるため、建物の揺れにも対応できます。しかし、耐用年数が短くなることがあり、耐久性を上げるには塗料を厚く塗る必要があるため、工事費用が高くなることもあります。

 

施工後の処理と廃棄物管理

石綿含有仕上塗材の除去作業が完了した後は、廃棄物管理を徹底することが、安全と法令遵守の観点から欠かせません。施工後の現場では、アスベスト繊維が残存している可能性があるため、清掃と最終確認が重要なステップとなります。

まず、作業エリア内の徹底的な清掃を実施します。飛散したアスベスト繊維や粉じんが残っている場合、特殊な掃除機やウェットワイプを使用して確実に除去することが必要です。この際、作業者は引き続き防護マスクや防護服を着用し、二次的な飛散や吸入リスクを防ぎます。

そして、除去したアスベスト廃棄物は、特別管理産業廃棄物として厳重に処理する必要があります。粉じん飛散抑制剤やセメントで固形化した後、厚み0.15mm以上の専用袋に密封し、袋の外側を清掃して二重梱包します。

廃棄物の保管場所は他の廃棄物と混ざらないように囲いを設け、管理者情報を掲示し、施錠管理を徹底します。さらに、汚水や汚泥が発生した場合は速やかに清掃し、環境汚染を防ぐことが求められます。

施工後の処理と廃棄物管理は、作業者や周辺環境への影響を最小限に抑えるだけでなく、施工業者としての信頼性を高める重要な工程です。現場での徹底した対応が、アスベスト対策の精度に直結するといえるでしょう。

 

まとめ

石綿含有仕上塗材の取り扱いは、事前調査から除去作業、施工後の処理に至るまで、徹底した管理が求められます。特に、飛散防止策や廃棄物管理は、作業者や周囲の安全を守るだけでなく、法令遵守や環境保全の観点からも欠かせない重要なプロセスです。

本コラムで解説した内容は、施工現場における石綿対策の基本的な考え方と実践例を示したものです。これらの知識を基に、現場ごとに対応を計画・実行することで、石綿のリスクを最小限に抑え、安全かつ信頼性の高い施工を実現することができます。

石綿含有仕上塗材への正しい対応は、施工のプロとしての責任を果たすことに直結します。都築ダイヤモンド工業では、今後も最新の情報や技術を取り入れながら、安全な作業環境を構築し続けて参ります。

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