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コラム

あと施工アンカー工法とは

あと施工アンカー工法の概要

「あと施工アンカー工法」とは、すでに存在している構造物の母材コンクリートに穿孔(穴を開けること)して、その穴に後付けでアンカーボルトを固定する手法です。

この工法は土木工事で用いられており、構造物に部材を統合する場合(橋脚の耐震補強や落橋防止装置の取り付け、防波堤・堤防の高さを増すなど)や、付属構造物を設置する場合(防護柵、防音壁、点検通路、標識などの設置)また、施工時におけるブロックの吊り上げなどに広く活用されています。

橋梁の落橋を防ぐためだけでなく、既存の柱や壁を耐震補強するためなど、既存の構造物と部材をしっかりと接合するために使用されています。

アンカーが打ち込まれる母材には、コンクリートのほか、石材やレンガ等があります。トンネルでは換気ダクトや標識などの付帯設備を構造物に取り付ける際にも利用され、土木のコンクリート分野で幅広く活用されています。

また、コンクリート構造物の設計段階で、機器などの取り付け位置と方法が既に決まっている際、コンクリートを設置するより先に、アンカーボルトを設置してコンクリート中に埋め込む工法を「先付けアンカー工法」といいます。

あと施工アンカー工法に用いられるアンカーの種類

建設分野において、既設の構造物 (母材)に新たに部材を接合する場合や、母材に付帯設備を取り付ける場合などに利用されるアンカー工法と称される工法には、以下の種類があります。

1)金属拡張アンカー

アンカーを母材に取り付ける際に、穴を開けてその中にアンカーを挿入します。その後、アンカーに衝撃を与える、または締め付けを行うことでアンカーの拡張部が広がり、コンクリート穴の壁にアンカーが固定されます。

2)接着系アンカー

アンカーを母材に取り付ける際に、穴を開けてアンカーと接着剤を充填します。接着剤が硬化した後、アンカーがコンクリート穴の壁に固定されます。なお、使用する接着剤は、カプセル型と注入型の2種類があります。

3)その他のアンカー

材質別に、金属、プラスチックなどを用いたものや、固着方法別に、打込式、ねじ込式などの方法があります。

構造物のあと施工アンカー工法の適用事例

あと施工アンカー工法は、大きな柱や壁の耐震補強や、橋梁の落橋防止など、部材の補強に使用して既存の構造物と接合することで構造物の性能を向上する役割として用いられています。

構造物の性能に影響がない適用事例としては、送電線ガイド、トンネルや共同溝における換気ダクト、標識や電柱などの構造物に用いられています。

アンカー部分がしっかりと安定していないと、構造物の耐久度に影響を及ぼしてしまいます。構造物の性能に影響がない場合でも、設置されている電線や換気ダクトなどの設備への影響があると、トラブルや災害に直結することがあります。

落橋防止工や耐震補強など、施工アンカー工法を構造物の一部として適用する場合、あと施工アンカー部の設計を理解し、コンクリート標準示方書に基づいて構造物の性能評価を行うことが重要です。

設備を構造物に設置する場合も、用途に応じてあと施工アンカー工法を選んで、設計、施工、および維持管理の各段階で対応する必要があります。

あと施工アンカー設置の流れ

まず、設計段階では、あと施工アンカー工法を検討した構造物や、アンカー部分に必要な性能に対して、それを満たすあと施工アンカーの種類や仕様を決定し、さらにアンカー部の維持管理計画を策定し、これを設計図書に記録して施工段階に入ります。

次に施工段階では、事前に施工が可能な条件が設計図書に示された仕様に合致していることを確認し、その後に施工計画を立案します。もし設計で想定した条件と一致しない場合は、設計段階に戻り、現実に即した仕様に再検討が必要です。

あと施工アンカー工法を適用した構造物は、母材コンクリートの強度や配筋に加え、ひび割れの有無、補修の有無、作用条件、環境条件、施工条件など、設計に必要な情報をコンクリート構造物の設計図、施工図、施工記録、点検記録などの記録図書などで確認します。

必要な情報が不足している場合は、その都度、現地で調査を行って構造物の状態を確認します。ただし、施工時に調査を行ったほうが効率的だと判断した場合には、施工段階で調査を行ってもかまいません。

施工計画を厳守し、適切な施工管理と検査を実施し、これらの一連の作業を施工記録としてまとめ、最終的に維持管理段階に入ります。

維持管理段階では、まず、対象構造物の維持管理計画に基づいて、必要な項目と頻度で点検を行います。点検時には、安全性を評価し、対策が必要かどうかの診断も行います。

あと施工アンカー部分の点検について

点検はあと施工アンカー部分を中心に、設備に取り付けたアンカーボルトの締め付け状態や、取り付け部分の母材コンクリートの状態なども含め、施工部に異常がないことを定期的に点検する必要があります。

あと施工アンカー工法が施された場所の使用目的や適用条件、構造物の利用状態によっては、点検が難しい場合も考えられます。特に、あと施工アンカー部分が構造物の一部となって移設ができない場合は、モニタリングするなどで確認を行い、あと施工アンカー部分の点検として役割を果たします。

また、点検が難しい条件では、モニタリングで異常が見つかったとしても、対策の実施が困難な場合が多いでしょう。構造物に支障をきたさない場合、設置位置に融通が効くのであれば、対策が行いやすいように、設計条件や維持管理計画の見直しが必要です。

設計や施工の見直しにおいては、性能照査、材料選定、施工、検査のそれぞれで行い、重要な決定事項や必要な情報は確実に周知して、維持管理計画に反映させる必要があります。

まとめ

・あと施工アンカー工法とは、構造物の補強や新しい部材の取り付けに使用される工法

・施工内容は、コンクリートに穴を開け、その穴にアンカーボルトを挿入して固定する。

・施工目的は、構造物に部材を統合したり、付属構造物を設置したりするなど、構造物の安定性や耐震性を向上させることもできます。

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