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コンクリート内部の調査にX線が推奨される理由

コンクリート構造物の内部には、鉄筋や電線管、水道管など多くの埋設物が存在します。これらを損傷せずに確認するためには、非破壊検査が不可欠です。今回は、非破壊検査の中でも、特にX線検査が推奨される理由について解説します。

非破壊検査の種類

コンクリート内部の調査方法としては、さまざまな非破壊検査が存在します。主な手法としては以下のようなものがあります。

赤外線検査  :  コンクリートの表面温度を測定し、内部の異常を確認する。
カメラによる表面撮影  :  コンクリート表面を撮影し、外観上の変化を捉える。
レーザー検査  :  反射波を高密度で撮影し、コンクリート内部の状態を解析する。
打音検査  :  打撃音の振幅や周波数を測定し、内部の空洞や異常を検知する。
衝撃弾性波検査  :  弾性波速度や周波数を測定し、内部の構造を評価する。
超音波検査   :  超音波を用いて内部の状態を測定する。
電磁誘導検査  :  磁性体の有無やその変化を捉える。
電磁レーダー検査   :  電磁波を利用して内部を測定する。
X線検査   :  X線の透過量を測定して内部の状態を確認する。

次に、非破壊検査でよく用いられている電磁波レーダー検査と、X線レントゲン検査を比較して、X線が推奨されている理由について探っていきましょう。

電磁波レーダー検査の特徴

電磁波レーダー検査は、コンクリート内部に電磁波を照射し、その反射波を解析して内部の状態を画像化する手法です。基本的な仕組みは、航空機の位置を特定するために使用されるレーダー技術と同様です。コンクリート内部に電磁波を送り込み、異なる物質(鉄筋や配管など)の電気的特性(比誘電率や導電率)に応じた反射波を捉え、その反射時間から物体までの距離を計算します。

特徴として、コンクリート内部の浅い部分に埋まっている鉄筋や配管の位置を把握するのに適している点があります。例えば、建築現場ではコンクリートの表層に近い位置にある鉄筋や配管の確認をする必要がある場合は、電磁波レーダー検査がよく用いられています。

電磁波レーダー検査の最大の利点は、そのコストパフォーマンスと作業効率です。他の検査方法と比較して費用が抑えられることが多く、また1日に25~30箇所程度のコア抜きなどの部分検査が可能です。また、広範囲のデータを1回の作業で取得できるため、時間的な効率が良い点も評価されています。

さらに、電磁波レーダー検査はコンクリートの内部を直接傷つけることなく検査できるため、既存の建物や構造物の調査において非常に有用です。放射線などの人体に有害な影響がないため、作業中の安全性が高く、5m以内の立ち入り制限が必要となるX線検査に比べて柔軟に運用できる点も大きなメリットです。

X線レントゲン検査の特徴

X線レントゲン検査は、コンクリート内部にX線を照射し、その透過したX線をフィルムやデジタル装置で受け取り、内部の構造物を画像化する手法です。この原理は、病院で骨折した際に撮影されるX線レントゲンと同じです。X線はコンクリートを透過し、内部に埋まっている鉄筋や配管、水道管などの異物により透過量が変化することで、それを映像化して確認します。

X線レントゲン検査は、コンクリート内部の状態を非常に高精度で可視化できるため、特に正確な位置や形状を把握する必要がある場合に適しています。例えば、鉄筋の配置や径を確認したり、埋設された電配管や水道管の位置を特定したりする際に、X線は極めて有効です。特に、以下のような点でX線検査は他の非破壊検査に比べて優れた点があります。

1. 高精度の画像

X線は、コンクリートの厚さや密度に左右されず、内部の鉄筋や配管の状態を細部にわたって映し出すことができます。これは、電磁波レーダーなど他の検査方法では難しく、複雑な配筋構造や細い配管の確認が可能です。X線検査では、鉄筋径の測定や、並列して配置されている鉄筋の状態も正確に捉えることができます。

2. 即時現像が可能

X線レントゲン検査では、撮影後、その場で現像して結果を確認することができます。この即時性は、コア抜き工事やアンカー工事を行う際に、内部の配筋や配管の位置をすぐに確認できるため、作業の安全性を確保しながら工事を進める上で非常に有用です。誤って配管を傷つけるリスクを最小限に抑えながら、正確で迅速な施工が可能となります。

3. 深部までの探査が可能

X線検査は、厚さ300mmまでのコンクリートであれば、内部の状態を正確に探査できます。精度を保つために探査可能範囲は300mmが限度とされています。特に深部の埋設物や配筋の状態を確認したい場合には、電磁波レーダー検査よりも有効な選択肢となります。

X線が推奨される理由

X線レントゲン検査がコンクリート内部調査で推奨される理由は、他の非破壊検査に比べて高精度な画像化が可能であり、配筋や埋設物の詳細な位置や径を正確に把握できるためです。

複雑な配筋や細い配管の確認には有効で、他の検査方法では難しい深部の埋設物も正確に検出します。また、撮影後すぐに現像でき、リアルタイムで確認できるため、工事現場で即座に対応が可能です。鉄筋の径や形状の測定も正確に行えます。

1日の作業量は、コア抜きなどの部分的な撮影の場合で10〜15枚、広範囲の連続撮影の場合は40〜50枚となります。

鉄筋径の測定が必要な場合や、複雑な配筋構造の際には、X線検査が圧倒的に優れた精度を発揮します。電磁波レーダー検査では、鉄筋や空洞の位置を完全には把握できないことが多く、安全性や精度を求められる作業において、X線検査が信頼できる選択肢となるでしょう。

まとめ

コンクリート内部の調査方法としては、さまざまな非破壊検査がありますが、 X線レントゲン検査は、精密な位置特定や埋設物の形状確認、そして極限での現場対応が必要な場面で、他の検査方法に比べて圧倒的に優れた性能を発揮します。

電線管の検査に関しては、現在のところX線検査以外に確実な方法はありません。

内部調査で、安全かつ正確な結果を得たい場合には、X線が最も信頼できる選択肢であると言えます。そのため、埋設物の正確な位置を把握し、施工における安全性を確保するために、コンクリート内部の調査にX線検査が推奨されている理由となっています。

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