06-6797-6025

06-6797-6020

大阪市平野区喜連西1丁目19-47

インターネットからのお問合せ

コラム

建物を維持管理する上で必要なアスベスト対策

建物の維持管理について

アスベスト含有建材を使用している建物は、適切な維持管理を怠ると利用者に健康被害を及ぼす可能性があり、建物所有者・管理者の責任が問われることになります。アスベスト含有建材で特に注意が必要なのは、吹付けアスベストです。建物内に使用されている吹付けアスベストが原因で、建物に滞在している人々がアスベストに曝露してしまい、アスベスト関連疾患を発症してしまう事例は数多く発生しています。
このような建物内のアスベストによる被害が発生した場合、建物を利用する労働者の雇用主だけではなく、建物の所有者・管理者にまで責任が問われるケースもあります。
日本の法規制では、建物所有者への規制は弱いものですが、国際的に建物の所有者・管理者の責任・義務を強化している傾向にあり、今後は日本においても規制強化の方向性が強まることが予測されます。

法的に求められる事項

次に法的な要求事項について解説します。明確に建物のアスベスト含有建材の管理を定めている法規制は「建築基準法」と「労働安全衛生法」になります。
この2つ以外に、国が制定した法律ではありませんが、財団法人財務会計基準機構が制定した「企業会計基準」というものがあります。

1,特定建築物の定期報告(建築基準法)

「建築基準法」第12条では、特定した建築物の定期報告を義務付けています。
劇場、映画館、旅館、ホテル、百貨店、マーケット、病院、学校、博物館、美術館、共同住宅など、政令と特定行政庁が定めた条件を満たす場合、その建築物は定期報告の対象となります。
定期報告は、安全と火災予防のために重要な制度ですが、実施率は7割程度となっています。当然のことながら未実施であれば実施する義務があり、定期報告をしていない場合の罰則は、100万円以下の罰金(第110条)です。事故や火災が発生した際に、定期報告の未実施が判明してしまい罰則が適用されたケースもあります。
定期報告は、建築士または特殊建築物等調査資格者など、有資格者が行う必要があります。実施内容は主に目視にて、アスベストが露出している部分の調査を行なうだけなので、完全に安全性を保証するものではありません。
定期報告の報告対象事項は、吹付けアスベスト含有建材の有無、飛散防止措置の有無、措置の実施予定、になります。アスベスト含有建築材料があるにもかかわらず、措置の予定がないと報告した場合、地方自治体から措置の実施を指導されることもあります。

2,労働者のアスベスト曝露防止(労働安全基準法、石綿障害予防規則)

「石綿障害予防規則」は、主にアスベスト含有建材の除去対策についての規定です。
第2節「労働者が石綿等の粉塵に曝露するおそれがある建築物等における業務に係る措置」は、事業者に対して使用している建物の吹付けアスベストや、保温材・耐火被覆板などのアスベスト含有建材から、雇用されている労働者を守るための規定となっています。
これらのアスベスト含有建材が劣化することにより粉塵が発生し、労働者の曝露が危惧される場合、直ちに除去の措置を取ることが求められています。また、建物の所有者に対しても共用部分について同様の規定があります。建物所有者という立場であっても、安全衛生法上の義務があるという点に注意が必要です。

3,資産除去債務(企業会計基準第18号)

財団法人財務会計基準機構が制定した「企業会計基準」は、企業の財務諸表を作成するためのルールです。アスベストに関しては法令によって、建物解体時に事前調査や隔離の措置など、通常の解体工事以上に費用がかかると予測され、その費用は債務として計上されることになります。したがって、企業会計基準に基づき決算に必要な財務諸表を作成するには、アスベストの調査によって対策費用を明らかにする必要があります。

具体的な対策

建物の所有者がアスベストの調査と管理を怠ったとしても、罰則の適用を受けることはありません。しかし、建物のアスベストによる被害が発生することで、責任を問われて損害賠償請求を受ける可能性があります。このような事態を回避するためにも、法的な要求を満たすだけではなく、建物内のアスベスト使用状態を把握して、適切に管理することが重要だといえます。以下に具体的な対策を解説していきます。

1,アスベスト調査

建物のアスベストを把握するには調査が必要です。しかし全ての建物に調査が必要ということではありません。調査の対象は、吹付けアスベストなど(レベル1)と断熱材、保湿材など(レベル2)に限定されます。成形板など(レベル3)はアスベストを含有していたとしても、破壊されるほどの力が加わらない限り、飛散するリスクはないため調査は不要です。
また、木造の建物はレベル1,2の建材を使用していることが殆どないため、特別な理由がない限りアスベスト調査対象から除外されています。

2,アスベスト調査実施者について

解体・改修時以外のアスベスト調査は、法的には誰が実施しても問題ありません。しかし、アスベストの調査には専門的な知識や経験が必要不可欠です。建物のアスベスト調査に特化した公的資格として2013年に「建築物石綿含有建材調査者」が制定されています。
アスベストの調査は「建築物石綿含有建材調査者」の有資格者に依頼するのが、最も確実で安全な手段といえます。

3,アスベスト建材があった場合

建築物石綿含有建材調査者に調査を依頼した場合、調査報告書に対応と管理方法のアドバイスが記載されています。調査者は依頼者へ調査内容の説明義務があるので、調査者の説明を求めて適切な対策を実施することが重要です。

まとめ

アスベスト対策は、建物利用者の健康被害を防ぐために、非常に重要な役割を果たしています。建物の適切な維持管理を行なうことで、想定外のリスクを回避することが建物所有者・管理者には求められています。

-コラム

© 2024 大阪のX線探査なら都築ダイヤモンド工業株式会社