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コラム

2020年の大気汚染防止法と石綿障害予防規則の改正 1

2020年には、大気汚染防止法と石綿障害予防規則が改正されました。その後、関連する告示と通達が出され、改正の全体像が明らかになりました。以下の表1では、大気汚染防止法の主な改正点を、表2では石綿障害予防規則の主な改正点を示しています。

大気汚染防止法におけるアスベストの規制は、これまで第18条の14から第18条の20までの範囲で行われていましたが、改正により第18条の25まで規制範囲が拡大され、条文が大幅に増加しました。石綿障害予防規則では、第6条の2に(石綿含有成形品の除去に関する措置)などが追加され、第3条(事前調査)は以前は3項でしたが、2021年には7項、2023年には9項となっています。以上が改正の概要です。

表1 大気汚染防止法の主な改正点

条項 項目 改正の概要
18条の14 特定粉じん排出作業の作業標準 規制対象にレベル3建材を追加し、除去の方法などの作業基準の変更、除去などが適切に行われたことの確認
18条の15 解体など工事に関わる調査および説明など 必要な知識を有する者による調査および調査結果の報告を追加
18条の16 特定工事の発注者などへの配慮など 発注者の配慮を元請業者などに拡大し、説明義務を追加
18条の17 特定粉じん排出など作業の届け出 レベル1、2の除去などの工事を「届出対象特定工事」とした
18条の18 計画変更命令 災害時の例外規定を追加
18条の19 特定建築材料の除去の方法 除去、封じ込め、囲い込みを規定した
18条の20 作業標準の遵守義務 対象に下請負人、自主施工者を追加した
18条の21 作業標準適合命令など 対象に下請負人、自主施工者を追加した
18条の22 下請負人に対する元請業者の指導 特定工事の元請業者の各、下請負人への指導の努力義務
18条の23 特定粉じん排出など作業の結果の報告など 作業の記録の作成、保存と発注者への報告
18条の24 国の施策 国の施策として、特定粉じん排出または飛散の抑制に関する施策の実施に努める
18条の25 地方自治体の施策 地方公共団体の施策として、特定粉じんの排出または飛散を抑制するよう必要な措置を講じることに努める
26条 報告および検査 報告徴収の対象に営業所、事務所その他の事業所を追加した
34条 罰則 作業基準違反への直接罰 18条の19違反は3月以下の懲役または30万円以下の罰金

HPリンク:大気汚染防止法

表2 石綿障害予防規則の主な改正点

条項 項目 改正の概要
3条 事前調査 必要な知識を有する者による調査および分析調査の追加。分析調査、調査結果の記録と保存、掲示。工事の進行にともなう調査
4条の2 事前調査の結果などの報告 解体・改修工事の事前調査結果の届け出
5条 作業の届け出 安全衛生法88条届け出の拡大による変更
6条 吹き付けられたアスベストなどの除去などに関わる措置 漏洩監視、負圧の管理を追加

除去が適切に行われたことの確認

6条の2 アスベスト含有成形品の除去に関わる措置 除去の方法の変更、切断による除去の禁止

特に発じんしやすい建材の隔離・常時湿潤

6条の3 仕上げ塗材の電動工具による除去 隔離・常時湿潤
13条 アスベストの切断などの作業等に関わる措置 湿潤困難な場合の除じん性能を有する電動工具など使用の努力義務
35条の2 作業計画による作業の記録 作業の記録の作成と保存

HPリンク:石綿障害予防規則

(1) 有資格者による建築物の事前調査および分析調査

石綿障害予防規則第3条と大気汚染防止法第18条の15では、建築物の解体などの工事を行う前に、石綿を含んだ建材の使用の有無を調査する「事前調査」が義務付けられています。しかし、調査を行う者についての規定は存在せず、誰でも調査できる状態が続いていました。今回の改正により、「建築物石綿含有建材調査者」という要件が導入されました。「特定建築物石綿含有建材調査者」または「一般建築物石綿含有建材調査者」は、すべての建物の調査ができますが、一戸建て住宅などについては、前2者の他に「一戸建て等石綿含有建材調査者」が事前調査を行うことができます。

分析調査は、建材にアスベストが含まれているかどうかを分析によって判定するものです。こちらも資格要件は存在しませんでしたが、改正により、学科講習と実技講習を修了した者などが分析調査を行う必要が生じます。これらの規定は2023年10月に施行されます。調査者による調査が義務付けられる一方で、その責任も重くなります。石綿障害予防規則に違反する調査は、事業者だけでなく、調査者自身も刑事罰を受ける可能性があります。

(2) 解体・改修工事の事前調査結果の報告

石綿障害予防規則および大気汚染防止法では、吹付け石綿など(レベル1)や保温材など(レベル2)の除去作業などの工事については、届け出が必要でした。しかし、改正により成形板など(レベル3)についても、解体や改修工事を行う前に事前調査の結果を報告することが義務付けられました。報告の対象は、建築物の場合は床面積が80平方メートル以上、改修工事の場合は請負代金が100万円以上、工作物の解体や改修の場合は請負代金が100万円以上となります。この報告は、国が新たに整備する電子システムを通じて行われます。この規定は2022年4月から施行されています。

(3) 事前調査に関するその他の事項

事前調査について、先述の(1)と(2)に加えて、書面調査や現地調査を行うことが明確に規定されています。アスベストの有無が調査で判断できない場合は、分析調査を行うか、アスベスト含有建材とみなすことが示されています。また、解体や工事を始める前に確認ができない箇所については、工事が進行し確認が可能になった段階で事前調査を実施することも求められます。さらに、事前調査結果の記録の保存や現場への備え付けなども追加され、事前調査の強化が今回の改正の重要なポイントとなっています。

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