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コラム

不動産取引におけるアスベスト対策

アスベスト含有建材により発生する不動産取引のリスク

アスベスト含有建材が使用されていることを知らずに建物を購入してしまうと、解体・改修工事を行なう際に、初めてアスベストの存在が判明することになるので、当初想定していなかった高額な対策費用が発生することになります。また、吹付けアスベストのようなアスベスト含有建材は、建物の利用者へ飛散によるアスベスト曝露の危険性があり、健康被害が発生するおそれがあります。

不動産取引において、アスベストの調査を義務付けたり、アスベスト使用建物の販売を禁止する法規制はないものの、前述のようなリスクを回避するために、不動産取引におけるアスベスト調査は必須だといえます。もし、アスベスト使用建物を購入した場合は、将来的に管理や除去の対策費用が発生することになります。

このリスクに対処するため、法令の要求事項として、宅地建物取引業法の「重要事項説明」と、住宅の品質確保の促進等に関する法律の「住宅性能表示」があります。
また、近年ではデューディリジェンス(適正評価手続)としてアスベスト調査が行なわれています。以下に関係法令による規定とデューディリジェンスについて解説していきます。

重要事項説明(宅地建物取引業法)

宅地や不動産の取引は、条件や権利関係が複雑です。十分に確認しないまま取引を行うと、本来の資産活用の目的が果たせなかったり、契約条件の認識不足から予期せぬ損害が発生したりすることがあります。
このようなトラブルを回避するためには、売買や賃貸借などの交渉の前に、契約の相手方へ契約条項や必要事項をしっかりと説明する機会が必要です。この説明のことを「重要事項説明」といいます。
重要事項説明では、売買や賃貸などの取引形態にかかわらず、アスベスト調査資料の有無などの説明が必要です。宅地建物取引業法では、アスベスト調査の規模は明確に規定していませんが、取引対象が土地や建物全体に関わる場合、アスベスト調査の全記録が重要事項説明の対象となることがあります。

宅地建物取引業法では、不動産会社を介して宅地建物の取引を行なう場合、重要事項説明は必要ですが、個人間の取引では重要事項説明は義務付けられていません。しかし、無用なトラブルを回避するために、アスベスト調査履歴がある場合は、購入者または借主にアスベスト調査の結果を説明することが推奨されます。

住宅性能表示(品質確保の促進等に関する法律)

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)は、住宅の品質を高めて、購入者の利益を保護し、トラブルの早急・適正な解決を目的とした法律です。
品確法では申請者の依頼により、登録住宅性能評価機関が住宅性能の評価を行い、標章を付けた評価書を交付することで評価を保証するものです。
また、住宅性能の表示・評価基準として「日本住宅性能表示基準」が制定されています。主な内容として、吹付け石綿・石綿含有ロックウールの有無、採取・分析方法、室内石綿濃度などの表示方法が取り決められています。

デューディリジェンス(適正評価手続)

デューディリジェンス(Due Diligence)とは、日本語で「適性評価手続き」の意。
Dueは義務、Diligenceは努力という意味で、投資を行うにあたって対象となる企業や投資先の価値・リスクなどを調査することを指します。
不動産におけるデューディリジェンスは、企業や投資家が売買する際に行なう、不動産の分析・調査のことで「不動産鑑定義務」とも呼ばれています。

対象となる項目は、不動産価値減価リスク、事業リスク評価・対策費用、耐震構造評価などの「建築系項目」と、土壌汚染、アスベスト・排ガス・排水廃棄物などの「環境系項目」に分類されます。
デューディリジェンスとしてアスベスト調査を行い、吹付け材などのアスベスト建材が確認された場合は、不動産価値の減価が起こる可能性があります。

デューディリジェンスにおけるアスベスト調査実施項目の概要は以下5点になります。

1,既存資料の確認

代表となる資料は、「竣工図」「増改築等の履歴情報」「アスベスト調査・分析報告書」「定期自主点検報告書」「アスベスト対策工事の履歴情報」などが挙げられます。

2,現地調査

アスベスト含有建材のなかでも飛散性が高く、対策費用が高額なレベル1,2を分析や調査の対象とすることが多く、レベル3については、施工範囲が広い場合や劣化・損傷が確認された場合に分析・調査の対象とされています。

3,リスク評価

建物内のアスベスト繊維が飛散するリスクを評価します。アスベスト含有建材が損傷・劣化して曝露のリスクが高いにもかかわらず、建材の使用箇所などの問題で対策工事が困難な場合、不動産取引自体が成立しなくなる可能性があります。

4,報告書作成

アスベスト調査報告書は不動産取引以外に、銀行融資の判断や入居検討時などにも、判断材料として確認されるため、調査実施者には信頼性が高い報告書の作成が求められます。

5,購入後に発生する費用

買主は既存資料や対象建物の構造・状態から、アスベスト建材の使用状況を想定して、今後予定されている改修工事の際に、アスベスト対策工事にかかる費用を考慮する必要があります。

まとめ

不動産取引において、アスベスト対策は決して無視できる問題ではなくなっています。あらかじめ発生するリスクを想定し、対策を講じて不測の事態を回避することが重要です。
今後は法規制されている内容だけでなく、アスベスト問題を積極的に解決する努力が求められています。

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