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コラム

アスベスト関連法規 大気汚染防止法10

特定工事の発注者が注意すべき配慮

特定工事とは

ここでは建設工事の時に、アスベストが出る工事のことを「特定工事」と呼びます。

 

特定工事の進行は、主に発注者からの指示に影響されます。ただし、発注者には、作業基準を厳密に守るような法的責任は課されていません。したがって、発注者が作業基準の内容を全く考慮せずに発注を出すと、元請業者は法律と発注内容の間でジレンマに陥る可能性があります。

そのため、大気汚染防止法では、発注者は元請業者に対して、作業が適切に実施されるように、施工方法、工期、費用などについて、発注時に十分な検討を行うこと。また、発注者は、事前調査を含む作業全般の計画も含めて、適切な配慮を払うことを求めています。

HPリンク:大気汚染防止法 | e-Gov法令検索

特に、以下のような場合は、下請負人が作業基準を遵守できるよう細心の注意が必要です。

・特定工事が複数の請負契約によって実行される場合
・粉じん排出などの作業が含まれる場合
・元請業者が特定工事の全体、または一部を他の業者に委託する場合
・他の業者が特定工事の全体、または一部を更に他の業者に委託する場合

また、労働安全衛生法においても、労働者の安全と健康の保護を考慮し、発注者にはその注意義務が規定されています(労働安全衛生法 第3条第3項)

HPリンク:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索

ポイント

つまり、アスベストを含む建設工事は、工事を発注する側にも責任がありますよ、ということです。

下請負人に対する説明責任

 

下請負人とは

アスベスト含有建材を含む工事を実際に行う下請け業者のことを指しています。

特定工事の元請業者、または下請負人は、自分たちが請け負った特定工事の全体、または一部を他の業者に委託する場合、その他の業者に対して特定工事に関する説明を行わなければなりません。

"委託" という定義は、他の業者と特定工事の全体または一部について下請契約を締結する時点を指し、業者が法的な義務に対して、遵守の必要性を理解した上で契約を結ぶことを意味します。

説明の形式は指定されていませんので、口頭で説明することも可能ですが、文書による説明の方が、記録にも残るため望ましいでしょう。また、請負契約書に記載することが推奨されています。

下請負人に対する元請業者の指導

特定工事の元請業者は、工事全体の統括管理をする責任を負っています。そのため、下請負人が作業基準を遵守するには、元請業者による指導を行う必要があります。

特に、特定工事が複数の請負契約によって実施される場合は、元請業者がそれぞれの下請負人に対して、各施工の分担に応じて監督・指導の役割を担うことが重要です。

特定工事における作業実施の届け出

届出対象の特定工事(吹き付けアスベストや、アスベストを含む断熱材、保温材、および耐火被覆材に関連する特定粉じん排出等作業を含む工事)の発注者、または自主施工者は、作業の内容が作業基準に適合しているかどうかを確認するために、あらかじめ都道府県知事に必要な情報を提出する必要があります。

これにより行政庁は、特定粉じん排出等作業が行われる場所などの情報を把握したうえで、大気汚染防止を目的とした作業内容の審査を行います。

届出が必要なのは「特定粉じん排出等作業の開始の日」の14日前です。
ここで言う ”作業の開始の日” とは、特定粉じん排出等作業に関する一連の作業開始の初日であり、工事全体の開始日ではありません。

具体的に言うと、除去作業前の作業エリアの封鎖や、粉じんの拡散を防ぐための設備などの設置作業開始日を指します。同様に、囲い込みや封じ込め作業の場合も、特定建築材料を囲い込む、または封じ込む作業の開始日が該当します。

ポイント

つまり、アスベスト含有建材を含む建設工事は都道府県知事に書類の提出が、開始日の14日前に必要だよ、ということです。

労働基準監督署へ提出する届出書への添付書類

アスベストを含む断熱材、保温材、および耐火被覆材(吹付けアスベストを除く)を使用している建築物などを囲い込んだり、封じ込んだりして改修や補修する場合、特定粉じん排出等作業の届出が必要です。

もし、大気汚染防止法施行規則で指定された書類が、労働安全衛生法に基づいた、労働基準監督署長への提出書の添付書類とほぼ同じ場合、書類を添付して提出することができます。

また、同じ建物で複数の特定粉じん排出等作業が行われる場合も、その写しを届出書に添付して提出できます。例を挙げると、同じ敷地内でアパートなどの複数の建物や工作物を短期間で解体などの作業を同時に行う場合に、写しを添付することで1つの届出書で提出を完結させることができます。

ポイント

同じ敷地内であれば、書類は1つで良いということです。

まとめ

今回は、発注者が注意するべき内容について、以下の5つを解説してきました。

1,特定工事の発注者が注意すべき配慮
2,下請負人に対する説明責任
3,下請負人に対する元請業者の指導
4,特定工事における作業実施の届け出
5,労働基準監督署へ提出する届出書への添付書類

発注者が担う役割は非常に重要です。どれも法令遵守には必要な項目となっていますので、内容を正しく理解しておきましょう。

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