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コラム

アスベスト(石綿)関連法改正の変遷

 
 

アスベストに対する規制は、今から半世紀ほど前に強化され始めました。
当時は製造工場に対する規制が主でしたが、アスベストの普及が進むにつれて、深刻な有害性や健康被害の拡大が問題になり、現在の規制強化につながっています。

アスベスト(石綿)法規制の歴史

現在の法規制の理解を深めるために、アスベスト法規制の歴史について、順を追って解説していきます。

1971年(昭和46年) 特定化学物質障害予防規則の制定

アスベストの取り扱いについて、局所排気装置の設置・呼吸用保護具の使用・作業環境の測定・作業場に関係者以外の立ち入り禁止などの実施が義務付けられています。

1972年(昭和47年) 労働安全衛生法の制定

労働者の保護を目的として、労働基準法から労働安全衛生法が独立して制定されました。
このときに健康管理手帳制度が創設され、アスベスト被害者の健康診断費用軽減が実現しています。

1975年(昭和50年) 特定化学物質障害予防規則の改正

アスベストが特に有害な物質として「特別管理物質」に指定されました。
この時よりアスベストは、発がん性物質として規制されることになります。
また、含有率5%以上の吹き付け石綿作業が禁止になったため、これまでの吹き付けアスベストの代用として、アスベスト含有率5%以下である吹き付けロックウールが、1980年代まで使用されていました。

1986年(昭和61年) アスベスト災害緊急対策法の制定

アスベスト対策として除去作業の規則が強化され、隔離と負圧管理が義務付けられました。
この影響で、学校教室の天井に吹き付けアスベストが使用されていることが明らかになり、「学校パニック」と呼ばれる社会現象を引き起こすきっかけとなりました。

1995年(平成7年) 特定化学物質障害予防規則・安全衛生施行令の改正

建物の解体・改修前の事前調査が義務付けられるようになり、従来の含有率5%以上の吹き付け石綿作業禁止が、含有率1%以上まで規制拡大しました。
また、アスベスト品種のうち、「アモサイト」と「クロシドライト」の製造・使用が禁止されました。しかし、日本でもっとも使用されている品種である「クリソタイル」は、規制対象外でした。
この年は阪神淡路大震災が発生した年であり、アスベストを使用した建物が大量に倒壊するといったアスベスト被害拡大の危機的な状況が起こっています。

2004年(平成16年) 労働安全衛生法施行令の改正

石綿含有製品13種目のうち、10種目の製造等が禁止されました。
禁止された品種は、石綿セメント円筒、押出成形セメント板、繊維強化セメント板、住宅屋根用化粧スレート、窯業系サイディング、ブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチライニング、クラッチフェーシング、接着剤、となっています。

2005年(平成17年) 石綿障害予防規則制定

全てのアスベスト含有建材の除去作業に、飛散防止対策と作業者の健康管理、作業主任者の選任等が義務付けられました。
この年は、アスベスト含有製品を製造している工場の周辺住民に、健康被害が発生してアスベスト問題が大きく取り上げられました。この現象は「クボタショック」と呼ばれています。

2006年(平成18年) 建築基準法の規制開始

9月1日より、アスベスト製品の製造・使用等が全面的に禁止となりました。
これにより、着工年月日が9月1日以降の建物については、アスベスト含有がないと断定することができます。
また、含有率1%以上だった吹き付け石綿作業禁止が、含有率0.1%以上までに強化されて現在の基準となりました。

2020年(令和2年) 大気汚染防止法・石綿障害予防規則の改正

これまでのアスベスト規制と比較して、大規模な法改正となっており、2021年4月から段階的に施行されていく予定です。

2021年4月(令和3年) 

1)アスベスト規制対象の拡大

従来規制されていた、吹付け石綿等(レベル1)と保湿剤等(レベル2)に加えて、成形板等(レベル3)も規制対象となったことで、全てのアスベスト含有建材が、作業時の規制対象となりました。また、除去方法などの作業基準がレベルごとに新設、更新されました。

2)適切な除去作業等の実施確認

アスベスト含有建材の解体工事による飛散を防止するために、有資格者によるアスベスト除去作業の完了確認を、目視で行うことが義務付けられました。

3)事前調査の義務化

図面と目視確認、両方の調査が必要となり、義務化されました。
調査でアスベストの含有が判明しない場合は、サンプル回収と分析が必要になります。
2006年9月以降の着工建物に関しては、着工年月日の確認で事前調査は完了になります。

2022年4月(令和4年)

一定規模以上の工事を行う場合には、石綿含有建材の有無にかかわらず、事前調査結果の報告が義務化されました。報告義務が発生する工事は以下の通りです。

・延べ床面積合計80平米以上の解体工事
・請負代金が税込100万円以上の建築物の改修工事
・請負代金が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事

参考:石綿事前調査結果報告システムについて(厚生労働省)

2023年10月(令和5年)

資格者による事前調査および分析調査

解体や改修する建築物におけるアスベスト含有建材有無の事前調査には、資格の規定はありませんでしたが、中立かつ公正に調査する「建築物石綿含有建材調査者」が資格者として定められました。今後は有資格者による事前調査が義務付けられます。

まとめ

アスベスト関連の法規制は、1970年代に工場などの労働環境を守るために規制が開始され、1980年代には公衆の環境を保護するための規制が追加されました。
1990年代では解体・改修などの工事現場に、2000年以降は建物内部の環境に規制が入るようになりました。

注目すべき点としては、2006年9月以降はアスベスト製品の全面禁止措置が取られた事で、アスベスト含有品種を判断する目安となります。

現在においても、規制は年々強化されている傾向にありますので、規制の内容を正しく理解して適切な対応を取ることが重要だと言えるでしょう。

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